転生したら聖女の守護霊だった〜俺を精霊としか思ってない聖女の行動が危なっかしくて困る〜

かもめ

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第1話 聖女と守護者とパラメーター

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「では、第6聖女エリス。誓いの印を」

「はい、聖女エリス、女神様と王立教会へ祈りと献身を捧げることをここに誓います」


 そう言って少女は、厳かな白いローブに身を包んだ聖女エリスは大神官が持つあまりにごつい書物に手を当てた。

 とたん、書物が光り、エリスが手を当てたページに不思議な紋様が浮かび上がった。


「誓いはここに立てられました」

「はい」

「第6聖女エリス、これよりあなたを守護者の加護を受けた正式なリスキル連合王国の聖女と認め、その任を全うするように求めます」

「はい、第6聖女エリス、聖女としての任を全うします」


 そして周囲からは拍手が起きた。

 ここは大きな聖堂の中だった。

 今行われているのはこの少女、聖女エリスの着任式というやつらしい。

 聖堂にはエリス、大神官、そして補佐官と何人かの聖女、そして聖堂の衛士が居た。全員白い、細やかな装飾が入った服や鎧やローブを着ていた。しかし、俺もエリスが言っていたのを聞いて把握しているに過ぎない。

 実際のところ今何が起きているのか全然分かっていないのだ。

 そして、俺はそれをエリスの背後から見ていた。

 その背後の地面から大体2mほどのところを浮きながら見ていた。

 なにせ、俺は人間ではないのだから。

 話は数時間前にさかのぼる。








「やった! やった! やっと私にも守護者様が現れた!!」


 少女はかなり喜びながら跳ね回っていた。

 風呂場でこんな跳ね回っては危ない。

 しかし、少女はその気持ちを抑えることができないようだった。

 そして、少女が跳ねるたびに何とは言わないが豊かなものが揺れに揺れていて俺は少女の向こうの鏡以外に目を合わせられなかった。

 しかし、鏡から目が離せないのはやり場に困っているからだけではない。

 その鏡には少女の背中以外になにも人は映っていなかった。

 つまり俺の姿が影も形もなかったのだ。


「なんだこれは」


 俺は自然と呟いていた。


「え!?」


 しかし、俺が話した瞬間に少女は目を丸くした。


「意思を持っている守護者様なんですか!? すごい!!! 大聖女ジゼルと同じだ!!」


 少女はさらに喜びが重なったようでその気持ちを貯めるように体を縮こめ、パタパタと何度も足踏みして全身で感情を表現していた。

 しかしやはり一糸まとわぬ姿なので俺は少女を見ることはできない。


「私はエリス、第6聖女エリス。あなたには名前はありますか? 守護者様」


 名前を聞かれた。なので俺はこれといって何も考えず普通に答えた。


「ま、マコト」

「マコト様ですか? 不思議な響きです! 守護者様にピッタリ!」


 少女は、エリスは大いに喜んでいた。

 そして、俺は鏡を見つつ自分の手を上げて見てみた。


「なんなんだこりゃあ」






 そして現在に時間は戻る。

 俺は自分の手を見ている。半分透けた手。赤い肌に鋼鉄のグローブのようなものがはまっている。

 生前のものとは似ても似つかない。

 そもそも透けているのだから人間ではない。


「守護者様。失礼いたします」


 気づけば目の前に大神官だという女が居た。白い髪にエリスのの何倍も細かい装飾の入ったローブ。そして頭にはヴェールをかけていて顔をうかがうことはできなかった。

 大神官が何かを唱えると俺の体が光に包まれた。

 でもそれは一瞬でそしてその光は俺の体から抜け出して形をとった。

 人型だ。短めのドレッドヘア、やたらかっこいい模様の入った彫刻のように精悍な顔、ボディビルダー顔負けのたくましい肉体。どうもこれは俺の姿の写しのようだった。

 俺はこんな感じなのか。

 ていうか、俺はなんなんだ。

 そして、やがてその光は収束し、小さな球となって大神官の持つゴツい本に入っていった。


「聖女エリス、あなたの守護者の性質を把握しました。その前に、守護者様がなにかを分かっていますね」

「はい、女神様よりそれに仕える資格を持つ聖女のもとに現れる大精霊。女神様の代弁者にして力の代行者。我々の後ろに立つ者。私たちは守護者様の力を借りて女神様のご威光を世界にあまねく広めます」

「結構。よく理解していますね」


 守護者様守護者様と繰り返すがどうやら精霊のようなものらしい。

 つまり俺は転生して精霊になったようだ。

 転生先として良いもなのか悪いものなのか。

 転生するのは初めてなのでよく分からない。


「それであなたの守護者様の性質ですが」

「はい」

「自立型で顕現範囲はEランク、特筆すべきはその動作の精密さとパワー、どちらもSランクです。秘蹟は持たないようですね」

「そうですか。近接型なら私の性格に合っています」

「潜在能力はかなりのものです。たゆまず祈り、鍛錬に励めば守護者様もまたその力を高められるでしょう」

「はい、祈り、また鍛錬いたします」

「よろしい」


 2人はそんな風に俺の性質を評していた。

 そして俺は思った。


(これ、もしてかしてスタ○ド的なやつだ!!)


 と。
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