転生したら聖女の守護霊だった〜俺を精霊としか思ってない聖女の行動が危なっかしくて困る〜

かもめ

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第18話 休日のエリスと俺

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「結構買っちゃいましたね」

「良かったのか? 俺のためにこんなに」

「なにを言ってるんですか! マコト様に楽しんでもらいたくて今日は街に出たんですよ!」


 店を出てジョージと別れた後エリスは笑顔で言った。

 結局、エリスは結構な数の霊薬をあの店で買ってくれた。

 これなら当分は嗜好品として楽しめるだろう。そもそもバフ効果もあるのだから戦闘時だって使えば良いのだ。

 そうして、霊薬の入ったバッグは俺が持っていた。さすがにこの量でも重さはまるで感じない。この体様様だ。周りからはバッグが浮いてるように見えるからかなりぎょっとしそうではあるが。


「ジョージさんには感謝だな」

「ジョージにしては気が利いてましたね」


 むふー、と言った感じのエリス。ジョージは「良い休日を」とかキザなことを言って去って行った。最後まであんまり好きにはなれなかったが霊薬のことは感謝だ。


「さぁ、じゃあ他にも回りましょう。マコト様に紹介したいところがいっぱいあるんです!」

「そうなのか」

「まだまだ行きますよ!」


 元気よくエリスは案内する。




 それからエリスはいろんなところに案内してくれた。

 まず良く行くカフェ。


「このオムレツがすごく美味しいんですよ!」

「へぇ、なんか白いな」

「半分がリスキルシロウズラの卵なんですよ!」


 エリスはもがもがとオムレツを口に入れながら言った。

 落ち着いた良い雰囲気のカフェだった。東京とかにあるおしゃれなやつとかあんな感じだろうか。

 次に願いが叶うと言う噴水。


「この泉の女神像にコインが当たると願いが叶うって言われてるんですよ!」

「ほぉ」


 どこかで聞いたことあるなと思っている俺の横でエリスは何枚もコインを投げたが当たりはしなかった。


「運動後はあの屋台のアイスが絶品なんですよ!」

「へぇえ」


 そして、コインを投げ終えるとエリスは吸い込まれるように露店に入って行った。

 なんだか美味しそうな粉がトッピングされたアイスをエリスは美味しそうに食べた。

 俺は霊薬を飲みながらそれを横で見ていた。

 それから、東方人街、


「この肉まんを食べながら飲む東方茶が絶品なんですよ!」

「なるほど」


 エリスはエリスの顔くらいありそうなバカでかい肉まんをパクつきながら、懸命にお茶をすすっていた。

 なんだかすごく忙しそうで面白かった。


「あの店はチャーハンがおいしいし、あの店は麻婆豆腐がおいしいんです!」

「ほほぉ」


 エリスは肉まんで指しながら教えてくれる

 なるほど、横浜中華街みたいだった。

 裏には居住地区もあるのだろうか。




 そして、他にもエリスはいろいろ案内してくれて、気づけば日が傾いていた。

 エリスは最後に街を見渡せる高台に案内してくれた。

 高台に登って気づいたが、アイズの城壁の向こうには海が広がっていた。

 赤い夕日が海に落ちていくのが見えた。


「良い景色だなぁ」


 俺はしみじみ言った。生前は忙しい日常に追われ、気づけば景色を楽しむなんてことはしなくなっていた。


「そうなんです。私、ここから見える景色が大好きで」


 エリスはさっき寄ったパン屋のハチミツパンをモグモグしながら言った。

 というか、エリスは食べてばっかりだったな。あんまり直接は言わないけど。

 しかし、景色は良かった。

 白を基調とした色の街は夕日に照らされると綺麗な赤色になっていた。

 そこをたくさんの人々が行き交っている。

 ここはかなり高くて全員米粒のようだ。

 後ろを見れば豪華な王城がそびえている。

 そして、街の城壁の向こうには耕作地帯の平野が広がり、その向こうが海だった。

 それらがここからは一望できる。

 清々しい景色だ。

 涼しい風が吹き抜けて、エリスの金色の髪を揺らした。エリスの私服は聖女の服に比べればなんてことないようなデザインで、今はエリスは普通の女の子のようだった。

 休日のエリスだった。


「マコト様、今日は楽しかったですか?」


 ふいにエリスが言った。


「ああ、楽しかったぞ」


 存分に街を堪能できた。本当にRPGの世界にやってきたんだということを実感できた。ワクワクしっぱなしだった。


「それなら良かったです! 私も楽しかったです!」


 エリスは笑顔だった。

 エリスも楽しめたのなら何よりだった。

 エリスだって毎日聖女の業務が大変なのだ。こうして休日に息抜きになったなら本当に良かった。


「マコト様が現れてくださって、聖女の仕事が始まって、頑張って任務を達成して、いろんな人にお祝いしてもらって、今度は大きな任務に行くことになって。私、毎日楽しいです。マコト様のおかげです。マコト様が私を選んでくださって本当に嬉しいです」


 選んだのは女神だが、それを言うのは野暮というものだろう。

 エリスが俺を相棒として認めてくれているなら何よりだった。


「俺も主がエリスで良かったよ」

「ふふ、ありがとうございます!」


 エリスは嬉しそうだった。


「私、この街が好きです。この街の建物とか人々とか。美味しものもたくさんあるし、良い景色もたくさんあります」

「ああ、良い街だったよ」


 ファンタジーの世界なのもそうだが、活気があって良い街だった。


「ふふ。それに聖女の仕事も好きで、好きな街で好きな仕事ができて、今私とても楽しいんです」

「それは何よりだ」


 エリスはきっと今、夢が叶っている最中なのだ。毎日が楽しいことで溢れているんだろう。夢なんか生前の俺にはなかった。ただ茫然と生きていただけだった。だから、エリスは眩しかった。嫉妬とかじゃない。ただ、力になりたいと思える。


「マコト様。今度の任務、頑張りましょうね!」

「ああ、上手くやろう」


 エリスはガッツポーズをしていて、俺は腕組みして答えた。

 きっと思っている以上に大変な任務なのだろう。シュレイグに集うのはエリートの聖女たち。有能な人材が集められるということはそれだけ大変であることを意味している。後衛とはいえ、やることは多いだろう。

 俺にできることがどれだけあるかは分からないが、エリスをちゃんとサポートしたいと思う次第だった。


「帰りましょうか、マコト様」

「ああ、マザー・リースの手料理が待ってる」


 そして、この赤色の綺麗な景色に別れを告げ、俺たちは帰路に着くのだった。

 いろいろエリスは気を遣ってくれた。ありがたい話だ。

 そして、俺も聖女じゃない年相応の女の子としてのエリスが見れて、なんだかほんわかしたのだった。

 そんな風にエリスが用意してくれた休日は終わっていったのだった。
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