異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第2章 竜の暮らし篇

第22話 新たな出会い

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 トラップが少ないこのダンジョンは非常に攻略が楽だ。モンスターもよって来ないので、飛んでいるだけで階層を突破できる。

 既に18階層に到達した。するとそこに、冒険者と思われる4人のパーティを発見した。全員女性だ。一人目は戦士系。二人目は魔法使い系。三人目は武闘家系。四人目は僧侶系だ。ここまで来れるということはそれなりに強いのだろう。

 そんな4人を影から見守っていると。

 「う、うわー!死毒海月が出たぞ!」

 「ひ、ひえー」

 「逃げましょう!」

 「お待ちください!ここまで来て帰る訳には行きませんわ!」

 「いい?私たち3人はあんたに雇われただけなの!」

 「自分の命を優先させていただきます」

 「ごめんね」

 そう言うと、戦士系1人を残し、ほかの3人はそそくさと逃げていった。

 「死毒海月」(デスゼリーフィッシュ)は紫毒海月の上位体で、名前の通り死をもたらす毒を持っている。

 種族 死毒海月・亜種(アナザー)
 rank 180
 
 技能 死毒針 軟体 浮遊 亜種の力 触手操作

 雑魚にしてはかなりの強敵だ。しかも亜種だ。

 「このモンスターよく見たら亜種ではありませんか!私で勝てるのでしょうか…」

 女戦士の剣を持つ手が震えている。 

 名前 サレナ・ホワイトハート
 種族 人
 職業 戦士(ウォーリアー)
 Lv  85
 
 技能 剣術 跳躍 勇気

 うん。勝てないね。これでは間違いなく負けるだろう。仕方ない助けてやるか。

 「クリア あの人を助けるぞ。クリアは周りの雑魚を蹴散らしておいてくれ」

 「わかった」

 クリアは俺から飛び降りた。そして俺は女戦士の元に向かった。

 「ど、ドラゴン!敵に挟まれてしまった!一体どうすれば…」

 「下がってな!」 

 「え?」

 俺は女戦士の前に立ち、光魔法を放つ。

 「光神アポロン

 魔法陣が死毒海月の前方に展開し、光が海月を包んだ。そのまま海月は光となり消えた。

 「大丈夫か?無事で良かった」

 「は、はい」

 つ、強い。このドラゴンなんて圧倒的な力…。今まで見てきたどの生物より強く、そして優しい。私は今、運命の方と出会ってしまいました…。

 「ん?どうしたぼーっとして」 

 女戦士は上気した顔を向けてくる。

 「い、いえ。助けていただきありがとうございました」

 そういうと女戦士はお辞儀をした。口調や仕草からどことなく気品を感じさせる。そして、クリアが雑魚を蹴散らし戻ってきた。

 「俺の名はリュートだ」

 「私はクリアです。無事で良かったです」

 「リュート様に、クリア様ですね」

 「私はサレナ・ホワイトハートと申しますわ」

 「サレナは何故こんな所に?」

 するとサレナは今までの経緯を話してくれた。
 昔サレナは貴族だった。サレナは家族と旅行中、モンスターに襲われた。サレナは両親が必死に守り無事だったが、両親はその時亡くなった。両親を殺した一つ目の巨人と、何も出来なかった自分を恨めしく感じたサレナは、冒険者となり、モンスターと戦うことにしたらしい。お金で雇った女傭兵とパーティを組みながら、色々なダンジョンを攻略してきたようだ。

 「しかし今回運悪く強敵と遭遇してしまったと」

 「は、はい。もっと私に力があれば」

 サレナは悔しそうにしている。なかなか見込みがある。
 しかしよく見るとメチャクチャ美人だな。鎧を着ているので、体のラインはよくわからないが、サラサラの長い金髪と、綺麗な肌でかなりの美人だ。

 「そんなに美人なんだから無理して戦わない方がいいんじゃないか?君みたいな美人は嫁ぎ先がいっぱいあるだろう?」

 「私は両親を殺したモンスターに復讐したいのです。それまではこの剣を手放すつもりはありませんわ」
 
 純粋な目だ。真っ直ぐな心を持っている。

 「あのー。それでリュート様にお願いしたいことがあるのですけれど…」

 「なんだ?」

 「リュート様と一緒に旅をさせていただけませんか。リュート様と旅をすれば、私の両親を殺したモンスターと再び会うことができる気がするのです。それに…リュート様の優しさと強さと優しさに私は惚れてしまいましたわ」

 恥ずかしそうにサレナは言う。嬉しいことを言ってくれる。可愛いじゃないか。

 「という事だが、クリアはどう思う?」

 一応俺にはクリアがいる。聞いておいた方がいいだろう。

 「いいオトコはいっぱい女を侍らせてこそだよ!私はいいと思うよ。それに私もサレナの願いを叶えてあげたい」

 まさかのハーレムOK宣言が飛び出した。そして、クリアはサレナと似たような境遇だ。共感できるものがあったようだ。

 「よしわかった。サレナも一緒に行こう」

 「はい!よろしくお願いしますわ」

 こうして、新たな仲間サレナが加わった。
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