異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第2章 竜の暮らし篇

第23話 修行

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 サレナが仲間になった訳だが、俺たちに着いてこれるように、サレナを鍛えなくてはならない。いわゆる修行というやつだ。

 「クリア様のレベルはいくつなのですか?」

 「私はこう見えても元モンスターだからレベルじゃなくてランクだよ。ちなみに私のランクはさっきの戦いで少し上がって290だよ」

 「え?クリア様って元モンスターなんですか?それに290ってちょっと高すぎではありません?」

 「いやぁ…私も色々あって…」

 クリアとサレナは早速、親睦を深めているようだ。ぜひ二人には仲良くなってもらいたい。
 今、俺は第19階層をクリアとサレナを背中に乗せて飛行している訳だが、どこかにサレナのいい相手になるモンスターは居ないものか。

 「リュート様のランクはいくつなのですか?」

 「私も聞いたこと無かった。いくつなの?」

 二人が聞いてきた。

 「ん?あぁ405だけど?」

 「よんひゃ…」

 「さすがリュート!強いね」

 サレナは言葉を失い、クリアは何だが嬉しそうだ。

 真竜の威圧をオフにして飛んでいるのだが、あまりいい敵がいない。雑魚ばかりだ。そうだ!いいことを思いついた。

 いい感じの広さの場所に着いたので、着地する。

 「どうかしましたか?リュート様」

 「サレナ。今から修行を行う。俺たちのランクについてくるにはサレナのレベルは低すぎる」

 「わかりましたわ。リュート様がそうおっしゃるなら」

 いい気合いだ。その気合が空回りしなければいいが。

 「よし、ではサレナの修行相手は…」

 サレナが緊張した面持ちで俺を見ている。

 「クリアだ」

 「えっ?私?」

 「一体どういうことですか リュート様」

 「こうするんだよ」

 「複製コピー・クリア」

 すると、クリアの隣にもう一人クリアが現れた。コピークリアは意思がなく、戦闘能力だけが引き継がれたロボットのようなものだ。しかし、強さはクリアと同じくらいなので、倒せば経験値が入るだろう。

 「すごいねリュートなんでも出来るんだね」

 「何でもは出来ないよ。そしてクリア、君はサレナを援護してやってくれ。でもあまり手を出し過ぎないように」

 「わかった」

 「リュ、リュート様。私には荷が重すぎますわ!」

 「俺はサレナを信じているさ」

 「私を信じる…。そう言われてしまっては、私も覚悟を決めますわ」

 二人が戦い始めた。ふぅ…だるい。コピーするのに実はえげつないくらいの魔力を消費した。創成と同様、複製も複雑になればなるほど魔力を消費する。しかも、クリアはランクが結構高いうえに、クリアをコピーする上でいくらコピーと言ってもクリアの可愛さを1ミリも落としたくないという謎の職人気質が発動してしまった。見た目は100パーセントそっくりなはずだ。だが、見た目だけではなく、強さも一級品だ。流石に重力操作などのスキルは使えないが、単純にランク差ゆえのステータスの差でサレナを圧倒するだろう。

 さて10分くらいが経過しただろうか。すでにサレナはボロボロだ。だが、だいぶ攻撃を受け流せるようになってきた。

 「ここで決めますわ!」

 「白き花の舞ホワイト・ダンス!」

 サレナは回転しながら攻撃を受け流し、心臓に剣を突き刺した。

 光になって、コピークリアは消滅した。

 「や、やりましたわ!」

 「やれば出来るじゃないか」

 「私、やりましたわ。これでリュート様のお役に…」

 そしてサレナは気を失った。緊張が解けて疲れがどっと出たんだろう。ゆっくり休ませてあげよう。

 「クリアもおつかれ」

 「サレナは凄いよ、私何もしてないもん」

 サレナはクリアの助け無しで勝ったようだ。本当にすごい事だ。

 「サレナも疲れているだろうしあとは20階層のボス部屋の近くにでも家を建てるか」

 「了解」

 クリアはサレナを背負い俺の背に乗った。そして俺はなるべくサレナを起こさないようにゆっくり飛び20階層へ向かった。
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