異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第3章 竜人の暮らし篇

第33話 適性

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 「ミラ!」

 「なんだ君は?いきなり人のことを呼び捨てにするとは…しかしかなりのイケメンだな…」

 ミラよ、心の声が漏れているぞ。

 「君みたいなイケメン、私には覚えがないのだが」 

 「数日前に目撃したドラゴンと言えばわかるかな?」

 「ドラゴン?ああ!あの時のか?よく無事だったな。しかし何故竜人に?」

 「進化したのさ。あの時は本当に助かった」

 「いや、お役に立てたなら何よりだ」

 本当に感謝している。するとルージュが、

 「えっ!リュートさんってあの時見た可愛いドラゴン?」

 思い出した。どっかで見たことがあると思っていたが、ミラと一緒にいた冒険者見習いの一人か。

 「あぁそうだ。すまん。ルージュのこと今まで忘れてた」

 「そんなぁ」

 ミラたちと会った時、それどころではないとあまり気にしていないのもあったが、実はミラはエルフだった。だからミラはかなり印象に残っていた。それにより、ルージュの存在を完全に忘れてしまっていた。すまないなルージュよ。

 「またリュートの知り合い?」

 「今度はどなたなんですの?」

 俺は出会った当時のことを二人に話した。

 「なるほどねー」

 「リュート様の小さい頃…一体どんな…」

 サレナは妄想の世界に入ってしまったようだ。

 「とにかく再会できて何よりだ。ここにいるということは、試験を受けに来たのだろう?」

 「あぁそうだ」

 「そうか。では始めるとしよう。最初は練習のようなものだ」

 ミラは水晶玉みたいなものを取り出した。

 「これで魔力適性を測ることが出来る。これに魔力を込めると水晶の中に光が灯る。灯った光の色が適性魔法の属性を表している。赤は火、青は水、緑は風、茶が土、黄色が雷だ。光と闇は結構珍しいぞ、色はそれぞれ白と黒だ。ごくごく稀に、EXを持つ者がいるが、その場合は紫に発光する。まずはそれぞれの適性を調べる」 

 ほかの冒険者たちは次々と水晶に手をかざし、魔力を込める。一属性しか持たないものが多いなか、何人か二属性所持者がいた。中には光適性や、闇特性を持つ者もいた。

 そしてルージュの番が来る。

 「二つ適性あったりしないかな…」

 ルージュは火の魔法が得意のようだが、ほかの適正があるかは知らないようだ。

 ルージュが水晶に触れる。

 「これは!」

 ルージュが声を上げる。水晶の中には、赤と白と黒の光があった。

 「三属性!珍しいぞ、良かったなルージュ」

 「はい、先生!嬉しいです」

 二人は先生と生徒の関係のようだ。

 そして次はクリアの番だ。

 「じゃあ次は私ね」 

 クリアが水晶に手をかざすと、水晶は紫色に発光した。

 「こ、これは!」

 ミラが驚嘆の声を上げる。

 「EXだ。君はなんの魔法が使える?」

 「重力だよ」

 「重力!今までも極めて適性者が少ない魔法だ。クリアといったか。すごいな君は」

 周りの冒険者たちもヒソヒソとクリアのことを話している。

 「あの子滅茶苦茶可愛いのに、物凄くレアな魔法持ってるとか最強かよ」

 「あの子、あのリュートとかいうやつの女だろ?羨ましいぜ!」

 「私もEX適性が欲しかったわ。そしたらあのイケメン竜人と…」

 クリアはどこに行っても人気だな。なんか俺の話をしているやつもいたような気がするが、気のせいだろう。

 「さて、最後は俺か」

 水晶に手を置き、魔力を加える。

 「な、なんだと…」

 ミラが言葉を失った。水晶は金色に光っている。

 「ミラ、この色はなんだ?」

 「全部だ」

 「全部?」

 「七属性に適性があるなら七つの光になるはずだ。しかしリュートの光は金が一つ。つまりこれが意味することは、七属性プラスEXだ。従って全部の魔法に適正がある」

 まぁ確かに全部使えるしな。

 「す、凄い!凄いですよリュートさん!やっぱり凄い人だったんですね」

 ルージュも興奮しているようだ。

 「君は一体どんな進化をしたらそうなるんだい?君の体に興味が湧いてきたよ」

 「いろいろあったよ」  

 そして練習はこれで終わりのようだ。

 こうして試験本番が始まるのだった。
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