異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第4章 竜人の試練篇

第47話 試されるリュート

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 全員無事に集まったので、ダンジョンの攻略を再開した。

 みんなかなり強くなったので、道中の敵が溶ける溶ける。俺も負けてはいられない。クリアも進化したし、俺もこのダンジョン内で進化してやると心に決めたのだった。

 今までで一番早く10階層分を登った。そして30階層のボス部屋の前で、いつものように言う。

 「最後のボスは俺一人でやらせてくれ」

 「リュートなら一人で大丈夫だと思うが、あまり無理はするなよ?」

 「頑張ってくださいね!リュートさん!」

 クリアとサレナはもちろん。ミラとルージュにも承認を貰ったので、部屋に踏み込む。

 『異常ランクを感知』

 またか、今度は何が…

 【???によってボスが変更されました】

 何ぃ?いつもと違う音声。この前進化した時にも聞いた気がする。それにしてもボスが変更されたと?一体何に…

 そこには四体の影のような者がいる。

 神眼で見る。

 名前 ???
 種族 ???
 rank ???
 称号 ???
 
 技能 ???

 なん…だと…?何も見れない。どうなっているんだ。

 【???によって???が変化します】

 すると影は、クリア、サレナ、ミラ、ルージュに変化した。その四人は俺に武器を構え、近づいてくる。

 俺にこの四人を倒せと言うのか。四人の影は本物と見分けがつかないくらい似ている。だが、相手は影だ。容赦はしない。

 「創成 ・ブレイド」

 剣を飛ばす。すると、

 「リュート!やめて!」

 クリアの声が聞こえて、思わず魔法を解く。

 「私に攻撃するのですか?」

 「リュートはそんな事しないよな?」

 「私はリュートさんを信じてますから」
 
 全員偽物ということを一瞬忘れかける。似ている。声や仕草まで似ている。かなり精巧な偽物に、俺の心に迷いが生じる。

 これが相手の戦法か。自分の大切な人を敵にすることで、戦意を喪失させる。実際俺には大有効だ。俺は四人が大切だ。命をかけて守りたい。四人が傷つく姿はもちろん見たくない。ましてやそれを俺自身が行うなどと考えたくもない。

 戦いの様子を観察している本物の四人はまったく手が出ないリュートを心配する。

 「リュートは優しいからいくら私の偽物だからといっても…攻撃は…」
 
 「リュート様…」

 「リュート!そいつは偽物なんだぞ!」

 「リュートさん!」

 わかっているさ。偽物ということくらい。だから、俺には出来ない。

 激しい怒りが湧き上がる。いつぞやの鯨よりも激しい怒りだ。俺に大切な人を殺させるように仕向けた誰かわからないやつと、四人の偽者如きで心が少し揺らいだ俺が許せない。

 この戦いは一瞬で終わらせる。

 『感情の高揚を確認しました。リミッターがひとつ解除されます』

 『リミッターの解除により、次元操作の力が解放されました』

  「次元潜航ディメンション・ダイヴ

 異次元空間を潜航出来るようになった。

 目の前からリュートが消え、本物も偽者も慌てる。

 そして不意に新たにできるようになった技を発動する。

 「次元堕としディメンション・ドロップ

 指定した範囲が俺のいる空間と入れ替わる。傍から見ると、俺が急に消えたと思ったら、相手がいた場所に俺が居て、相手は消滅している。そんな感じだろうか。

 「えっ?倒しちゃったの?」

 「流石はリュート様ですわ」

 「一体何をしたんだ…」

 「凄いです!リュートさん」

 これにて、戦闘終了だ。すると、いつもの脳内アナウンスが響くのだった。
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