異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第6章 竜王の闘い篇

第62話 開戦

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 メルーグ軍は進軍を開始した。北東にあるムガ王国に向かって。あっという間に互いの国の境界線を越え、既に王城は目と鼻の先だ。敵の指揮官が命令する。

 「今こそ、征服の時が来たのだ!我らがメルーグ皇帝陛下の名の元に進め!」

 「「「「「うおーーー!」」」」」

 さて、まぁ後は作戦通りに頼んだぞ、みんな。

 「来ましたわね!作戦通りに行きますわ!」

 「了解しました!」

 「第一部隊作戦開始ですわ!」

 サレナが単騎で突撃する。

 「一人でで何が出来る。やれ!」

 こっちの兵の数は650人と、こっちの部隊の中では一番数が多い。しかし、メルーグ側の前衛は1200以上の大軍だ。普通だったら勝てない。しかし、こちらにはサレナが居る。

 「白き花の舞ホワイトダンス!」

 「なっ!」

 メルーグ軍の前衛の兵士たちが一瞬で減る。司令部に混乱が走る。

 「何が起こった?」

 「女です!一人の女が単騎で突っ込んできています!」

 「囲め囲め!」

 サレナは一瞬で包囲される。

 「今ですわ!」

 その掛け声と共に、上空から矢の雨が降り注ぐ。サレナ以外の場所に降り注ぐ。

 「第二部隊、第二射、放て!」

 ミラの掛け声と共に遥か彼方の後方から再び矢が射出される。

 「なんて距離からの射撃だ。前衛!散開!」

 「遅いですわ!第一部隊突撃!」

 外側から回り込んでいた第一部隊が敵国の前衛の後退を防ぐ。

 「なんだ?何が起こっている?」

 敵軍の前衛部隊は既に壊滅状態だ。

 「前衛はどうなっている?中衛部隊を向かわせろ!」

 「指揮官!」

 「どうした?」

 「中衛部隊攻撃を受けています」

 「なんだと!」

 前衛部隊が攻撃されている隙に、第三部隊が左右から別れて、進軍する。

 「行きますよ!みなさん!」

 「分かりました!」

 「「「魔力収束」」」

 魔法兵たちの掛け声と共に、中衛部隊の上空に巨大な魔法陣が出現する。

 「合体魔法マジックユナイト墜落フォール

 百人以上の魔力が光の玉に一気に収束し、中衛部隊に落ちる。

 「指揮官!部隊半壊です!」

 「どうなっている?ムガ王国のどこにこんな力が…」

 「隙だらけだぜ」

 指揮官の後ろからリュートが剣を突き立てる。

 「なんだと?いつの間に後衛部隊の最後尾まで回り込んだ?」

 「まぁちょっとしたスキルでな。軍を退くなら今のうちだよ?」

 「誰が貴様らなんかに遅れを取るか!」

 「よしじゃあ第五部隊。攻撃開始!」

 後衛部隊の前方にはマギ、左にはカーブ、右にはスティングが居る。敵軍の平均レベルは100。大してこっちは全員が300超。勝負は明らかだ。

 「リュート殿の命令だ。消えてもらおうか」

 「これに懲りたら俺たちの国に戦争なんて仕掛けないことだな」

 「私もそう思います」

 「四人で何が出来る!やれ!」

 「曲がる斬撃カーブ・スライサー

 カーブが剣の斬撃を飛ばす。

 「突き抜ける蒼槍スティング・ボルグ

 スティングが槍の投擲する。

 「機械的殺戮メカニカル・ジェノサイド

 マギが魔法でロボのようなものを操作し、ビームを放つ。

 約500人はいた後衛は一瞬で消し飛ぶ。指揮官ひとりが残る。

 「ひっ!ひぃ!」

 「これに懲りたらもう手は出さないことだ」

 「ば、化け物どもめ!」

 そう言い残し、指揮官は去る。

 「リュート殿?逃がしてよかったのか?」

 「あぁ、次に攻めようとしたら完全に息の根を止めるという俺なりの警報さ」

 「流石です。リュート様」

 「さて、この戦い俺たちの勝ちだ!」

 絶望的と思われた、メルーグ帝国との戦いは、圧倒的な力のムガ王国の勝利に終わった。

 しかし、帰還した指揮官の報告を受け、さらなる軍事力の強化を図るメルーグ帝国はこの位では諦めないのだった。
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