異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第7章 新たな暮らし篇

第81話 予選開始

　色々あって朝になり、大会当日になった。大会の会場に向かう。俺は参加者用の待機場所へ向かう。クリアたち四人は観客席に居るようだ。

　予選Aブロックが始まる。俺も観戦しているが、どれもぱっとした相手がいない。観客もあまり湧いていないことから有名な戦士も居ないのだろう。
　予選はAからJブロックの10個に分けられる。それぞれのブロックに約50人が割り振られており、大会の参加者は約500人にも及ぶ大人数だ。そのうち各ブロックで最後まで立っていた1人が本戦に進み、計10人が本戦に進むことができる。
　あっという間にAブロックの試合が終わる。勝ち残ったのは、歴戦の猛者と言った面構えの戦士だ。

　しばらく休憩が入り、Bブロックが始まる。こちらもあまりぱっとしない。時に見どころもなく、Bブロックが終わる。勝ち残ったのは、ごつい装備を着た槍使いだ。

　闘技場内には、売店のようなものがあるので、飯を買い、食べながらCブロックを観戦する。

　会場がざわざわし始めた。どうやら有名な人物が居るようだ。

　「キャー！ダルク様よ！」

　「かっこいい！」

　観客の女性陣が1人の男性に注目している。そこにはサラサラの長い金髪に、豪華な鎧を着たイケメンがいた。どうやら名のある戦士のようだ。

　ダルクと言われる男性は鮮やかな手さばきで相手を切り裂いていく。かなり剣使いが上手い。周りの女性陣がダルクを応援してるので、ダルクに相手の男たちから嫉妬のヘイトが集まる集まる。しかし、それをなんなく裁く剣使い。中々の強敵だ。

　Cブロックはダルクの勝利で終わった。俺の周りにいる出場戦士たちからも諦めの声が聞こえてくる。

　「なんでこんな所にA級冒険者のダルクが居るんだよ！」

　「くそ！あいつには勝てねぇ！」

　あのくらいでビビるとはまだまだだな。それにしてもAランク冒険者か。だいぶ歯ごたえがありそうだ。

　Dブロックは特に見応えはなかった。1人やけに強い剣士がいた。勝ったのはその全身鎧で謎に包まれた剣士だ。

　Eブロックが始まる。今度は男性陣が騒ぎだす。

　「テーゼちゃん！頑張れ！」

　「あぁ可愛いなぁテーゼちゃんは…」

　男性陣の視線を集める女性が1人。テーゼと呼ばれたその女性は確かに美人だ。顔に似合わず武器はナックルということは格闘家なのだろう。

　流れるような早業で相手を倒していく。かなり素早い。巨漢な戦士は動きについていけず、あっさり倒される。こちらもあっという間に決着が着いた。テーゼが勝利した。

　周りの話し声が聞こえてくる。

　「あいつもAランク冒険者だ…」

　「今年は運が悪かったな…」

　どうやらテーゼもAランクの冒険者のようだ。戦うのが楽しみだ。

　Fブロックが始まる。こちらはかなり白熱した試合だ。同じくらいの強さが三人くらい居たらしく、その三人が最後まで戦っていた。勝ち残ったのは女性ながら大剣を振り回す戦士だった。

　さて、次は俺の番か。俺は選手入場口に向かうのだった。