異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

文字の大きさ
96 / 529
第7章 新たな暮らし篇

第82話 Gブロック

しおりを挟む
 Gブロックが始まろうとしている。入場口から闘技場の舞台に向かう。

 「リュート来たよ!」

 「頑張って下さいリュート様!」

 「リュートなら大丈夫だ!」

 「私たちがついてますよ!」

 四人は観客席から応援してくれる。舞台に50人の戦士たちが集まる。男性が9割、女性が1割と言ったところか。
 周りの戦士たちは開戦のゴングがなるまでは攻撃は出来ないのだが、皆がみな闘気を発している。

 「なんだ?ガキが混じってるなぁ?」

 右目に眼帯をつけた明らかに悪そうなやつに声をかけられる。その存在に気付いた客席から驚きの声が上がる。

 「あ、あいつは!かつて極悪な行いから兵に捕まったグバンガじゃないか!」

 「やべーぞ!あいつ釈放されたのか。しかもこんな大会に出てやがる!」

 ほう。かなり凶悪なやつらしい。

 「はっ。ガキが混じるなんてこの大会も落ちたもんだな…たかが知れてるぜ。まぁ近くにいたからてめぇでいいか」

 どうやら狙いをつけられたようだ。なんて腹が立つ奴だ。

 「俺はガキだからといって容赦しないぜ。逃げるなら今のうちだ」

 「あぁあいつ終わったな…」

 「まだ子供なのになぁ…」

 「何故あいつはグバンガから逃げないんだ?」

 観客も俺が無残にやられると思っているようだ。いくら体が小さいからと言って俺の事舐めすぎじゃないか?ちょっと腹が立ってきた。仕方ないから少し本気を出すことにする。興味あるのは本戦だけだ。

 みんなグバンガから距離を取り始めた。そろそろ始まるのだろう。

 カァーン!開始のゴングがなる。

 「逃げなかったお前が悪いんだぜ?死に晒せや!」

 武器の爪を振りかざしてくる。

 「雑魚は帰れ」

 一瞬の出来事だった。観客も何が起きたのかわかっていない。フィールドには眼鏡をかけた少年一人が立ち、その他の戦士たちは全員倒れていた。

 「はぁ…この位の出力でダウンか…話にならないな」

 「うおー!すげぇぞあいつ!」

 「どんな能力だ!」

 「圧倒的だ!」

 あっという間の制圧に会場が盛り上がる。

 「て、てめぇ何しやがった」

 グバンガが起き上がる。

 「耐えれたのか。そこそこやるじゃないか」

 「この野郎!もう許さねぇ!」

 グバンガの武器の爪がより鋭くなり、体の筋肉が膨れ上がる。

 「あぁグバンガが本気を出したぞ!」

 「あれはやべぇぞ!」

 「少年!逃げろ!もうあいつは君を殺すことしか考えてない!」

 観客席から怒号が飛び交う。

 「おいオッサン。殺したら反則負けだぞ?」

 「うるせえ!お前が死ねばそれでいいんだよ!黙って死ねぇ!」

 剛腕から鋭い爪のラッシュが放たれる。難なく避ける。

 「な、なぜ当たらねぇ!」

 「お前が弱いからだ」

 「てめぇ!」

 さらにラッシュが加速する。

 「もういいか」

 剣を創成し、構える。そして、武器だけを破壊する。グバンガの爪が粉々に砕け散る。

 「な、なんだと!」 

 「じゃあな」

 ドスッ!剣の柄で、みぞおちを殴る。そのままグバンガは倒れ込む。

 会場が激しく盛り上がる。

 「うおー、あいつグバンガを、倒しやがった!」

 「今回の目玉だ!」

 「強いのになんて可愛いのかしら…」

 どうやら会場の心を鷲掴みにしたようだ。こうして、Gブロックの勝者は俺となった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...