異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第8章 勇者の暮らし篇

第89話 魔銃

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 日が経ち、再びマギの元へ向かう。マギに連れられて何時ぞやの会議室に行く。

 中には数人の魔法研究員が居る。

 「今日はリュート様にこちらをお渡し致します」

 マギが長方形の白い機械を取り出す。俺ではよくわからないような複雑な構造をしている。

 「マギ?これは?」

 「こちらはリュート様専用の魔法武器でございます」

 魔法武器。確かサレナがメルーグ帝国進攻時に貰っていたな。

 「サレナ様の魔法武器も会心の出来ですが、こちらは我々魔法研究者一同が、魂をかけて作った最高傑作です。これ程のものは恐らくこの世界には存在しないでしょう」

 「そんなものを俺が貰っていいのか?」

 「はい。リュート様はこの国を救って頂いた英雄です。しかも、勇者にもなられた。ならば、この魔法武器は、リュート様にこそ相応しいものですから、遠慮なんてしないでください」

 「わかった。ありがたくいただこう」

 「この魔法武器について説明致します。こちらの魔法武器はリュート様が手に取ると、頭の中に思い描いた武器になります。その段階で武器の種類は固定されます。例えば、剣を想像して手に取るとこの魔法武器は剣になります。一度剣になったら、もう剣以外にはなりません。しかし、この魔法武器は自ら進化します。剣から大剣に、分裂して二本になる、など様々な進化が出来ます。最初にイメージした『剣』という固定概念を守る範囲で、変化することが出来ます。ですので、最初のイメージが大切ですので、考えてからお受け取りください」

 「了解した」

 なるほど。俺が自由に進化させることが出来る武器ね。何がいいだろうか。少し考えてみよう。
 勇者になったことにより刀を手に入れているから、近接武器は必要ないだろう。だから、遠距離武器がいいだろうか。やはりここは「銃」がいいだろう。見た目もカッコイイし、恐らくこの世界には存在しない武器だ。相手も対策が難しくなるだろう。そして何より、男のロマンだ。刀と銃とかカッコよすぎる。

 「よし、決めた」

 「では、こちらの魔法武器をお受け取りください」

 頭の中にかっこいい銃を想像して手に取る。すると、魔法武器が変形を始める。

  『武器種が固定されました』

 脳内アナウンスが響く、なんて高機能な武器だ。

 しばらくすると俺の右手には、白い銃が握られていた。

 「リュート様?その武器は?」

 「俺の考えた武器だ」

 マギに銃の使い方を説明する。

 「なるほど。そのような武器を思いつくとは、さすがはリュート様です。私たちも銃をいくつか作ってみます」

 「早速だが試し撃ちがしたい」

 「では訓練所に的を用意しましょう」

 訓練所に移動する。訓練所に的が並べられる。

 「さて、どんなものか」

 武器の握り心地を確かめる。手にしっかりと馴染んでくる。銃の大きさは割と普通だ。弾は俺の魔力で自動補充されるので、俺の魔力が尽きない限り、無限に撃てるようだ。さしずめ、魔銃と言ったところか。
 魔銃を構える。恐らく万能術の効果か、銃の撃ち方などは完全に把握している。的の真ん中を狙いトリガーを引く。

 弾が発射される。通常のサイズと同じくらいの弾丸が飛んで行く。弾丸は的に当たると、的を貫き、壁に刺さった。

 「こいつは良い」

 俺は威力の高いマグナムを想像して、銃を撃った。想像通りの威力だ。

 「気に入って頂けて、こちらも嬉しい限りです」

 「よし、こいつの名前は『魔銃・コロナ』だ」

 夢幻白夜が夜とするなら、コロナは太陽、つまり昼だ。昼を司る名前を与えた方がしっくりくるだろう。

 こうして俺は、魔法武器の魔銃コロナを手に入れるのだった。
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