異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第8章 勇者の暮らし篇

第90話 他国からの依頼

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 魔銃を手に入れてから、しばらく日が経った。今日は珍しい依頼が入っていた。

 「まさか他国から依頼が来るとはな」

 勇者になったことが、相当この世界に知れ渡って居るようだ。依頼の主は、ダール王国のギルド。あの時戦ったギルドマスターセムラからのものだった。
 依頼の内容はギルドの宣伝を兼ねて、一日だけ教官をやるというものだ。現代日本で言う、警察の一日署長みたいなものだろうか。だが、何故俺なのだろうか。こんな子供の体の俺より、クリアや教官経験者のミラの方が絶対に絵になるだろう。まぁ頼まれたものを断るのも忍びないので、朝早くにダール王国に向かう。四人は別件の仕事が有るのでムガ王国に留守番だ。

 ダール王国に到着した。こんな子供が朝早くに1人で現れたものだから門番も警戒する。

 「君は?」

 「ギルドマスターに依頼されたリュートです」 

 「ギルドマスターが?あぁ!話は聞いております。どうぞお通り下さい」

 「ありがとう」

 真っ直ぐギルドへ向かう。朝早いだけあって人は少ない。

 「わぁ可愛い!君は何故ここに?」

 受付嬢が、完全に子供扱いしてくる。なるほど。どうやら俺は名前だけ有名で、容姿はあまり伝わってないな?

 「リュートと言えばわかるか?」

 「えっ!あのリュートさん?リュートさんは確かもっと大きかったような…」

 事の経緯を説明する。

 「なるほど。そのようなことが…でも、困りましたね…」

 「何がだ?」

 「恐らくギルドマスターは、リュートさんが子供になったこと知らないんじゃないですかね」

 ギルマスはそんな状況で俺に依頼を出したのか?

 「大丈夫なのか?」

 「ギルドマスターに直接会いに行ってみてください」

 奥に通された。

 「誰だね?君は?こんな朝に子供が何故ここに?」

 「依頼するなら俺がどういう状態か把握していた方がいいんじゃないか?」

 「依頼?……!?君はリュート君か?」

 「そうだよ。久しぶりだなセムラ」

 「あぁ久しぶりだね。しばらく見ないうちに随分小さくなったじゃないか」

 「まぁ俺も色々あったからな」

 これまでの経緯を、話す。

 「ハッハッハ!本当に君には驚かされるよ。この数ヶ月の間に結婚をし、国を一つ潰し、仕舞いには勇者に勝つとはな!私には考えられない内容だ」

 「俺もそう思うよ」

 「ミラは元気でやってるのかい?」

 「あぁ彼女も毎日楽しそうにしてるよ」

 「それならよかった」

 「で?俺は依頼で来たんだが、具体的に何をするんだ?」

 「君が子供になっているとはなぁ。まぁ大丈夫だろう」

 なんか不安な言い方だな。

 「君には、新しく冒険者になった者と手合わせして欲しい」

 「それならばお安い御用だ」

 こうして、俺の一日教官が始まるのだった。
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