異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第8章 勇者の暮らし篇

第93話 新たな色彩

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 ローザを抱えたまま家に帰宅する。既に四人は仕事を終え、帰宅していたようだ。

 「おかえりリュート。遅かったね?」

 「あぁ色々あってな」

 ローザの事を説明して、ソファに寝かす。

 「魔族…ですか…」

 「こいつが魔族か…」

 「だ、大丈夫なんですか?」

 クリア以外三人はやはり魔族は怖いようだ。

 「大丈夫だ。安心してくれ」

 しばらく時間が経ち、ローザが目を覚ます。

 「あっ!起きた。大丈夫?」

 クリアが話しかける。

 「えーと…ここは…私は何を…はっ人間!」

 「大丈夫だよ。あなたに危害を加えたりしないから」

 「あの人は?無事なの?」

 「俺の事か?」

 「魔族に魔力供給したのに生きてる…あなたは何者なの?」

 「通りすがりの勇者だ」

 「勇者!?魔族の敵!」

 「大丈夫だって落ち着け。これでも飲め」

 飲み物を飲んで落ち着かせる。

 「あぁ。美味しい…」

 「落ち着いたか?なんであんなことになったのか話してくれ」 

 俺たちはローザの過去話を聞いた。

 「それは大変だったな」

 「なんで勇者が魔族なんて助けたの?」

 「だから言っただろ?放っておけなかったんだ。これからどうするんだ?」

 「私はもう魔族界には帰れない。人間界で生きていくしかないの。あぁ、いつまでもここにお世話になる訳にはいかないか…私は行くね。魔力を分けてくれてありがとう」

 「ローザはそれでいいのか?」

 「えっ?なんで名前を…」

 「俺はステータスが見れるんだ。それより君の気持ちを聞かせてくれ。君は本当はどうしたいんだ?」

 ローザの言葉が詰まる。気持ちに嘘がある証拠だ。

 「わ、私は…」

 「ここには君を蔑むものなんていない。弱いからと言って君を追い出したりなんかしない。それに君はまだまだ強くなれるさ」

 「あぁ…私は…」

 「素直になりなよ。君のやりたいことを話してくれ」

 「私は魔族に復讐がしたい!私を追い出し、人間には悪いやつしかいないと嘘を吐くような奴らを許せない!それに、人間にはあなたたちみたいな優しい人もいる。 あなたたちとずっと一緒にいたい!一人はもう嫌だ!」

 「じゃあここにずっと居ればいい。いいよなみんな?」

 「リュートも私もローザを応援する」

 「そうですわ。弱者を見捨てるなんて許せませんわ」

 「魔族にも良い奴は居るようだな」

 「ローザさんはいい魔族ですよ!」

 どうやら四人とも賛成してくれるみたいだ。

 「本当にいいの?」

 「あぁ!」

 「ありがとう!嬉しい…みんなこれからよろしくね」

 「あなた、リュートって言うんだっけ?」

 「そうだよ」

 「じゃあ名前で呼んでもいい?」

 「好きに呼んでくれ」

 「リュート!ありがとう」

 「どういたしまして」

 こうして、感情的な色彩に新たな色が加わった。
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