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第8章 勇者の暮らし篇
第92話 追放者
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ギルドを後にして、帰宅するために門へ向かっている。
そこで俺は気づいた。明らかに付けられている。後ろからコソコソと尾行されている。このまま帰るのも面倒なので、処理してから帰った方がいいだろう。
わざと人通りの少ない路地に入り込む。まだ付いてきている。これで確信に変わった。
「誰だ?俺を付けているのは?」
「わっ!バレた!」
逃げようとした影を鎖で捕まえる。
「何の用だ?」
ローブを着込んで姿が見えないので近づく。
「離して!」
女の子の声?頭部分のローブを剥ぎ取る。
そこに居たのは、さっきギルドで俺の事を見ていた女の子だ。よく見ると、角が生えている。モンスターか?
眼鏡を外して真眼でステータスを見てみる。
名前 ローザ
種族 下級魔人(ローデーモン)
rank 13
技能 なし
魔族だ。しかし、ランクは低くとても弱い。
「くっ!人間に捕まった!このままじゃ殺されちゃう…」
ローザはじたばたするが、鎖は離れない。
「いや、殺さんよ?別に」
「嘘だ!そう言って人間たちは私たちの仲間をたくさん殺してきたんだ!騙されないから!」
この世界には、人間と魔族が存在する。魔族は、俺たちが居る人間界ではなく、別世界の魔族界に存在している。かつて魔族の王、魔王は平穏に暮らしていた人間に対して世界を越えて、宣戦布告をした。目的は恐らく人間魔力の支配だ。人間たちは、圧倒的な力を持つ魔族の侵略になすすべもなくその数を減らした。この世界の人口が比較的に少ないのはそういった背景がある。数を減らし続ける人間に神が助け舟を出した。それが勇者だ。過去の勇者たちは魔族兵たちに侵略されかけていた大陸を圧倒的な力で救い、魔族を魔族界に押し戻した。
そして今に至る訳だ。人間たちは魔族を見ると恐怖し、怯えるのだろう。魔族を殺したくなるのもわかる。だが、俺にはあまり関係がないことだ。
「言っとくけど先に戦争を仕掛けてきたのは魔族側の方だぞ?」
そんなことを話していると、ローザが大人しくなっていく。弱っているのか?
「う、うぅ…」
「おい?どうした?」
ローザは具合が悪いようで、意識を失いかけている。
「ま、魔力が…足りないの…」
「魔力?」
「魔族は、魔力を摂取して生命活動を行うの…でも私は魔族界を追放されたから…魔力をしばらく摂取して無いの…」
それは大変だ。魔力を補給させないと。
「どうすれば魔力を補給出来る?」
「人間の…」
「人間の何だ?」
「人間の体液…」
なんですとー!そう言うパターンですか。しかし、目の前で弱ってるんだ。背に腹はかえられない。
「俺の魔力で良かったら使ってくれ」
「い、いいの?魔族の魔力の量は人間たちよりも遥かに多いんだよ?魔力を吸われた人は死んじゃうんだよ?」
「俺は死なないさ。何より君が死にかけてるのを放っておけない」
「!?」
こんな人間がいるのか。魔族に優しくしてくれるなんて…。
私は小さい頃から人間は怖いものだと教わってきた。魔族を見つけたらすぐに殺しにくる野蛮な種族だと。
私は弱かった。弱い私は魔族界に要らないと魔族界から追放された。人間界で、逃げ隠れして生活していたが、魔力が足りなくなった。そこで近くにあった街に侵入した。そこで目に入ったのがこの人間だ。体は小さいのに圧倒的な力を持つ不思議な人間。気がつくと私は彼を追っていた。
彼は優しかった。こんな魔族の出来損ないの私にも手を差し伸べてくれる。だから、彼をここで死なせたくない。魔族の魔力吸収は普通の人間には耐えられないのだから。
「で、でも…あなたが…」
「ごちゃごちゃ言うな!」
「んっ!」
あぁ。唇を交わしてしまった。ごめんなさい名前も知らない優しい人…あなたを死なせてしまう…
ドクン!ドクン!体中に力がみなぎる。何これ!凄く濃い魔力!
「んんー!」
唾液が交わる。体中に魔力が行き渡る。魔力を吸っても吸っても無くならない。こんな人間が居るのか。あぁなんて暖かくて気持ちいい…
「これで大丈夫か?」
ローザは気を失ったが、顔色はいいようだ。大丈夫そうだ。このままここに置いておくのもあれなので、自宅に連れていくか。
こうして、俺はローザと出会ったのだった。
そこで俺は気づいた。明らかに付けられている。後ろからコソコソと尾行されている。このまま帰るのも面倒なので、処理してから帰った方がいいだろう。
わざと人通りの少ない路地に入り込む。まだ付いてきている。これで確信に変わった。
「誰だ?俺を付けているのは?」
「わっ!バレた!」
逃げようとした影を鎖で捕まえる。
「何の用だ?」
ローブを着込んで姿が見えないので近づく。
「離して!」
女の子の声?頭部分のローブを剥ぎ取る。
そこに居たのは、さっきギルドで俺の事を見ていた女の子だ。よく見ると、角が生えている。モンスターか?
眼鏡を外して真眼でステータスを見てみる。
名前 ローザ
種族 下級魔人(ローデーモン)
rank 13
技能 なし
魔族だ。しかし、ランクは低くとても弱い。
「くっ!人間に捕まった!このままじゃ殺されちゃう…」
ローザはじたばたするが、鎖は離れない。
「いや、殺さんよ?別に」
「嘘だ!そう言って人間たちは私たちの仲間をたくさん殺してきたんだ!騙されないから!」
この世界には、人間と魔族が存在する。魔族は、俺たちが居る人間界ではなく、別世界の魔族界に存在している。かつて魔族の王、魔王は平穏に暮らしていた人間に対して世界を越えて、宣戦布告をした。目的は恐らく人間魔力の支配だ。人間たちは、圧倒的な力を持つ魔族の侵略になすすべもなくその数を減らした。この世界の人口が比較的に少ないのはそういった背景がある。数を減らし続ける人間に神が助け舟を出した。それが勇者だ。過去の勇者たちは魔族兵たちに侵略されかけていた大陸を圧倒的な力で救い、魔族を魔族界に押し戻した。
そして今に至る訳だ。人間たちは魔族を見ると恐怖し、怯えるのだろう。魔族を殺したくなるのもわかる。だが、俺にはあまり関係がないことだ。
「言っとくけど先に戦争を仕掛けてきたのは魔族側の方だぞ?」
そんなことを話していると、ローザが大人しくなっていく。弱っているのか?
「う、うぅ…」
「おい?どうした?」
ローザは具合が悪いようで、意識を失いかけている。
「ま、魔力が…足りないの…」
「魔力?」
「魔族は、魔力を摂取して生命活動を行うの…でも私は魔族界を追放されたから…魔力をしばらく摂取して無いの…」
それは大変だ。魔力を補給させないと。
「どうすれば魔力を補給出来る?」
「人間の…」
「人間の何だ?」
「人間の体液…」
なんですとー!そう言うパターンですか。しかし、目の前で弱ってるんだ。背に腹はかえられない。
「俺の魔力で良かったら使ってくれ」
「い、いいの?魔族の魔力の量は人間たちよりも遥かに多いんだよ?魔力を吸われた人は死んじゃうんだよ?」
「俺は死なないさ。何より君が死にかけてるのを放っておけない」
「!?」
こんな人間がいるのか。魔族に優しくしてくれるなんて…。
私は小さい頃から人間は怖いものだと教わってきた。魔族を見つけたらすぐに殺しにくる野蛮な種族だと。
私は弱かった。弱い私は魔族界に要らないと魔族界から追放された。人間界で、逃げ隠れして生活していたが、魔力が足りなくなった。そこで近くにあった街に侵入した。そこで目に入ったのがこの人間だ。体は小さいのに圧倒的な力を持つ不思議な人間。気がつくと私は彼を追っていた。
彼は優しかった。こんな魔族の出来損ないの私にも手を差し伸べてくれる。だから、彼をここで死なせたくない。魔族の魔力吸収は普通の人間には耐えられないのだから。
「で、でも…あなたが…」
「ごちゃごちゃ言うな!」
「んっ!」
あぁ。唇を交わしてしまった。ごめんなさい名前も知らない優しい人…あなたを死なせてしまう…
ドクン!ドクン!体中に力がみなぎる。何これ!凄く濃い魔力!
「んんー!」
唾液が交わる。体中に魔力が行き渡る。魔力を吸っても吸っても無くならない。こんな人間が居るのか。あぁなんて暖かくて気持ちいい…
「これで大丈夫か?」
ローザは気を失ったが、顔色はいいようだ。大丈夫そうだ。このままここに置いておくのもあれなので、自宅に連れていくか。
こうして、俺はローザと出会ったのだった。
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