異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

文字の大きさ
115 / 529
第9章 魔族襲来篇

第99話 夢幻

しおりを挟む
 ブランは魔力の光に包まれ、巨大化し始める。どこかで見たような展開だ。場所まで同じのような気がする。

 「俺は魔王様に仕える魔界六魔の一人、魔拳のブランだ!こんな所で負ける訳には行かない!」

 魔界六魔というのがあるのか、多分四天王みたいなものだろうか。

 かなりイケメンだったブランの見た目が、どんどん変わっていく。お世辞にもかっこいいとは言えない見た目に変化した。RPGでよく見る第二形態みたいなものだろうか。それをやるのは大魔王の気がするが、まぁ気にしても仕方ない。

 「この姿になったからにはお前はもう終わりだ!」

 10メートルはありそうな巨体から禍々しいオーラが放たれている。人型は人型なのだが、横に大きい。その姿は正しく壁のようだ。

 「ぐおぉぉぉぉぉぉ!死ねぇ!」

 ブランは思いっきり地面を殴る。地面がひび割れたと同時に、激しい衝撃波が俺を襲う。思った以上に衝撃波は強く、俺は吹き飛ばされた。

 「どうだ!これが六魔の力だ!勇者もたいしたことがないな!」

 吹き飛ばされた衝撃で眼鏡が取れる。

 「俺から眼鏡を外させるとは、なかなかやるな。これで、こっちも少しは力を出せる」

 そう、俺はこれっぽっちも本気を出していない。まぁ正確に言うと、出したくても出せないが正しいのだが。それでも進化したことにより、多少のステータスは上がり、スキルの制限も少なくなってきた。こいつを倒すことで、俺は元の力を出せるようになる。そんな確信がある。だから、少し本気を出す。

 「な、何だと!貴様、まだ力を隠していたのか!」

 明らかに強くなった俺を見て、驚くブランを尻目に、まずは真眼で相手を確認する。

 名前 ブラン
 種族 上級魔人・超化(ハイデーモン・スーパー)
 rank  842
 称号 魔拳魔人

 神号 魔界六魔[第五座]
 
 技能 拳術(極) 付与術(拳) 召喚術 超化 魔力強化

 かなりの高ランクだ。だが、スキルは少なめ、よって攻略方法はある。そう言えば、俺には試してみたいものがあった。

 「さて、これならどうかな?」

 夢幻白夜が光を放つ。



 「くそっ!これでも食らえ!飛拳!」

 魔力が篭もった拳が実体をもって飛んでくる。さながら、ロケットパンチのようだ。

 「無駄だ!」

 飛んできた拳は刀によって切り裂かれる。

 「ふっ。それを読んでいた!」

 拳は真っ二つになり、飛んでいき地面に着弾する。その拳は地面にぶつかると同時に激しい衝撃波を放つ。

 「何ぃ!」

 後ろからの衝撃で、リュートは刀と銃を落とし、ブランの方向へ吹き飛ばされる。

 「貰ったぞ!勇者!」

 ブランは、吹き飛ばされてきたリュートを狙う。

 「剛牙!」

 鋭いパンチが放たれ、リュートの体を貫く。そのままリュートは体に穴が空いたまま、地面に転がる。
 
 「はぁはぁ…勝った!勇者に勝ったぞ!ハッハッハッハー!」

 ブランが勝ち誇った笑いを放つ。


 
 「という夢を見たのさ」

 ブランの心臓が後ろから刀で貫かれる。

 「ぐはぁ!な、何が起こった!」

 ブランの後ろにはさっき殺したはずの勇者が立っていた。

 「夢幻白夜の能力『夢幻』の味はどうだった?」

 「げ、幻術か!これほどまで精巧なものを作り出せるとは…」

 「じゃあ終わりだ!」

 刀を挿したまま、上に切り裂く。

 「くそぉぉぉ!俺の野望がぁぁぁぁ!勇者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 叫びを上げながらブランは真っ二つになり、消えて行った。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...