異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第9章 魔族襲来篇

第100話 大勇者誕生

　『戦闘が終了しました』

　脳内アナウンスが流れると共に、体中に力が漲るのを感じる。魔界六魔の一人、ブランを撃破したことにより大量の経験値が流れ込んできているのだろう。

　体が白い光に包まれる。進化が始まったのだ。体が大きくなるのを感じる。子供だった体は、大人に戻っていく。竜人の頃とほぼ同じ体格になった。

　名前　リュート・ヤガミ
　種族　真竜大勇者・神越種-超過(ジェニュインドラゴングレイトブレイブ・ディバインクロスオーバー)
　職業　大勇者
　rank 　235
　称号　怒れる次元神

　神号　五つの災厄[心]　感情覚醒者[怒]
　
　技能　次元操作 真眼 神越 勇者

　昇華しただけあって、強敵を倒してもあまりランクは上がらないようだ。種族及び職業が、大勇者になった。なんかネーミングだけ聞くと、ダサいな。

　スキルに勇者スキルが増えた。何故、前回の進化の時に増えなかったのだろうか、謎だ。

　勇者　勇者特有のスキル。あらゆる場面でその力を発揮する。

　真眼でスキルを確認しても、効果はよくわからない。多分パッシブスキルみたいなものだろう。

　服をしっかり着るのを忘れずに、残った魔族たちを撃破していく。隊長がやられた魔族の部隊は戦意を喪失し、逃げるものも現れた。ゲートは逃げ惑う魔族たちでぎゅうぎゅうだ。

　「逃げろ！ブラン様がやられた！」

　「そんな奴らに勝てるわけがない！」

　魔族はどんどん撤退して行く、撤退する魔族を庇うように女魔族が俺に立ち塞がる。

　「私も一応、魔界六魔の一人、魔誘のヌードよ。このままでは貴方に私たち全員がやられてしまうわ。だから、私が犠牲になるわ。私が貴方を少しでも足止めして、部隊を生還させるわ！」

　「いや、もう手を出さないなら何もしないさ。君も帰りな」

　「えっ？」

　ヌードが驚いた顔をする。

　「私たちが根本的に悪いのよ？人間たちは何もしてない。魔族が一方的に力を手に入れようとしてるだけなのよ？」

　「魔族だからって、無駄に命を散らす必要は無いよ」

　「本当に私を逃がしてくれるの？」

　「あぁ。こっちに手だしをしないのなら、攻撃するメリットもない」

　「人間なのに優しいのね。ありがとう。貴方、名前は？」

　「リュートだ」

　「リュート。あなたのことは忘れないわ」

　ヌードもゲートを通って帰還する。ゲートが消えていく。空に光が戻る。

　「リュート！」

　「リュート様！」

　「リュート無事か！」

　「リュートさん！」

　「リュート！」

　クリアたち五人が戻ってくる。

　「あぁ。無事だ。みんなもお疲れ様」

　「リュート進化したんだ」

　「さっきな」

　「子供リュート様もよかったですけれど、やはり大人リュート様はたくましいですわ」

　「それがリュートの大人の姿か…いい…」

　そう言えばローザは俺の大人の姿を見るのは初めてか。
　
　「よし、家に帰ろう！」

　魔族の一団を退けた俺たちは悠々と帰宅するのだった。