異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第11章 魔族大戦篇

第126話 魔剣、溶解

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 サレナは、ズーグの魔剣と一体化した右腕を切り飛ばした。

 「ぐう!」

 魔剣が地面に突き刺さり、切られたズーグは、膝から崩れ落ちる。

 「終わりですわ」

 サレナは、剣を頭の上に突きつける。

 「このままでは負けてしまいますね…。それだけは許されない…!仕方ない奥の手を使いましょう」

 そう言うと、ズーグの体から黒い魔力が溢れ出す。

 「魔族たちよ!私に魔力を分けたまえ!」

 周りで戦闘していた魔族たちが一斉にズーグの元に集まり出す。

 「何をするつもりですの?」

 サレナは、危険を察知して距離を撮る。

 「私は死なない!たとえ、理性が無くなろうと、私は魔王様をこの世界の王にする!魔王様万歳!」

 周りの魔族たちは溶け、黒い魔力と化す。その魔力の塊が、ズーグに収束していく。

 「おお!おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 ズーグがみるみる巨大化していく。騒ぎを聞きつけ、アイティオもこちらにやってきた。

 「どうなってんだい!これは!」

 「アイティオ様!ご無事でしたか!しかし、服が…」

 「あぁそうなんだあの魔族にやられた」

 「でしたらこちらを」

 サレナは、持っていた布をアイティオに渡した。

 「すまないね。恩に着る」

 アイティオは布を体に巻いた。

 「それよりなんだい!この魔力の量は!」

 「私と戦っていた魔族に、ほかの魔族の魔力が全て入り込んだようですわ」

 「まずいね…こいつの相手は骨が折れそうだ…」

 ズーグは、巨大化し、10メートルくらいの大きさになった。

 「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 ズーグの理性はもう無くなっていた。

 「あんた達!こいつの相手は無理だ!下がれ!」

 「了解しました!」

 騒ぎを聞きつけ、集まってきた兵士たちにアイティオが呼びかける。だが、一人の人影がこちらに向かってきた。

 「師匠!私も戦わせてください!」

 そこに居たのはリュートと共に闘技大会を戦ったスプラだった。スプラは、リュート達がムガ王国に帰還した後、アイティオに弟子入りしていたのだった。

 「スプラ様!スプラ様もこちらの部隊に?」

 「はい!無理言って着いて来させて貰いました。私は弟子なんですから、師匠が戦うなら私も戦います!」

 「仕方ないわかった!だが、あたしとサレナはこいつの相手で精一杯だ。自分の身は自分で守るんだよ?」

 「わかりました!師匠!」

 ズーグは絶えず魔力を放出していて、下半身は溶け液体化し、そこに上半身だけが残っているような感じだ。人型とは比べ物にならない、禍々しい姿をしている。

 「ぐがぁぁぁぁぁぁ!」

 ズーグが咆哮をあげる。

 「皆様!行きますわよ!」

 「あぁ!この国はあたしたちが守るよ!」

 「はい!」

 三人のサラマ王国防衛戦、最終章が始まる。
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