異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

文字の大きさ
159 / 529
第11章 魔族大戦篇

第127話 魔剣散る

しおりを挟む
 「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 溶解したズーグの咆哮が、砂漠中に響き渡る。

 「なんて迫力だ…」

 「だからと言って負ける訳には行きませんわ!」

 「そうですね!」

 「ぐおぉぉぉぉ!」

 ズーグが手を上げると、上空に巨大な魔法陣が出現し、その魔法陣から無数の剣が出現する。大量の剣が、雨のように降り注ぐ。

 「サレナ!スプラ!あたしの近くで屈め!」

 アイティオの掛け声に従い、サレナとスプラは、アイティオの傍で屈む。

 「こんな攻撃、あたしが跳ね返してやるさ!」

 アイティオは、所持している神斧を頭の上で、回転させ始めた。回転している斧が降り注ぐ剣の雨を全て弾き返した。アイティオたちの周りや、ズーグの周りには大量の剣が刺さり、まるで剣の山のようだ。

 「今ですわ!」

 「はい!行きます!」

 剣の雨が止んだと同時に、サレナとスプラが、二手に別れて突撃する。

 「スプラッシュ・インパクト!」

 スプラは、盾を前に構え、渾身の突進をする。

 「白き光の輝きホワイト・ビート!」

 サレナの剣から縦一直線の閃光の如き剣撃が放たれる。

 しかし、どちらの攻撃もズーグにはまるで効いていない。盾でえぐれたと思ったら、すぐさま元に戻る。剣で切られたと思ったら、こちらも元に戻る。

 「うそ!効いてない!」

 「なんて回復力ですの?」

 「サレナ!スプラ!下がりな!」

 サレナとスプラがズーグから離れた。その時、アイティオは既に斧を振りかぶっていた。

 「喰らいなぁぁぁ!」

 ドッゴォォォォン!周りの剣もろとも、ズーグを消し飛ばし、砂煙が上がる。

 「どうだい!」

 砂煙が晴れる。そこにはほとんど修復が完了している、ズーグが居た。

 「なんで奴だ!あたしの一撃でも沈まないのかい?」

 「アイティオ様、スプラ様!最大の攻撃をぶつけましょう!」

 「わかりました!」

 「わかった!」

 「まずは、私が!」

 スプラが、ズーグに高速で突撃する。

 「師匠に教わった、破壊する力を私にも!」

 スプラが盾を捨て、剣を両手で持ち、一気に踏み込む。

 「スプラッシュ・ブレイク!」

 そのまま回転を加え、ドリルのようにズーグに突撃する。

 「貫けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 スプラは、ズーグの体に巨大な穴を開けた。

 「D.D.ソード、接続コネクト!」

 二つの剣が合わさり、巨大な大剣になる。

 「白聖魔大剣ホーリー・ブレイド!」

 ズーグの元に踏み込み、剣を振る。

 「白き大剣の十字斬りホワイト・クロス!」

 十字の巨大な斬撃を飛ばす。穴が空いていたズーグが、十字に切り裂かれさらに四つに別れる。

 「あたしも行くよ!神器全開ディバインウェポン・フルオープン!」

 斧がハンマーになる。そして空中に飛び上がる。

 「リュートの時は場所もあって少し手を抜いたけど、今回は遠慮しないよ!覚悟しな!」

 アイティオは、以前と違う詠唱を唱え始めた。その間に二人は巻き込まれないように、離れる。

 「我、破壊の化身也。全てを破壊し、全てを終わらせる者也。今、ここに真の災厄をもたらさん!」

 アイティオの体に不思議な刺青が現れる。髪も逆立ち、神器は眩い光を放っている。

 「天星破滅プロキオン・ビックバン!」

 巨大なハンマーを振り下ろしながら、アイティオが落ちてくる。

 「壊れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 ズーグは肉片ごと巻き込まれ、回復する間もなく破壊された。そして、アイティオにより、この砂漠に巨大なクレーターが開いたのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...