異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

文字の大きさ
168 / 529
第12章 反撃の狼煙篇

第136話 追放

しおりを挟む
 気がつくと、俺は上下も何も無い黒い空間を漂っていた。

 ここは一体どこだ?俺は一体何を…そうだ!魔界六魔の第一座の命懸けの一撃にやられ世界から追放されたようだ。

 一体なんなんだ?この空間は?

 「光玉フラッシュ・バン

 光の玉を空間に投げつけるが、光は闇に吸い込まれるように消えた。

 魔法が使える?魔力は回復したようだ。一体どのくらいの時間気を失っていたのだろうか。

 「みんなの所へ戻らないとな」

 しかし、戻り方がわからない。次元操作を使えばこの謎空間からも脱出できるかもしれない。

 「家に戻るか。次元操作・転移」

 『対象の場所が存在しません』

 えっ?どういうことだ?対象の場所しない?空間が違うから認識しなかったのか?

 別の方法を考える。一度この空間から出てしまえば、元の世界に戻れるのではないか?仮にこの世界を次元の狭間とするなら、現世との境界線をあやふやにすれば、向こうに戻れるようになるかもしれない。

 「次元潜航ディメンション・ダイブ

 自分の次元を作りだし、中に入る。色々試すが、何も起こらない。これではまだ足りない。もっと巨大な力で世界に干渉しなくてはならない。

 「こうなったらあれを使うか」

 「竜次元ディメンションオブドラン

 目の前が無人の現代日本に変わる。ここならば、世界に干渉できるかもしれない。精神を統一し、耳を済ませる。

 「リュート…」

 微かに小さい声で名前を呼ばれたような気がした。

 「リュート様…」

 「リュート…」

 「リュートさん」

 「リュート…」

 みんなの声が聞こえた。これならば行ける!

 「次元操作・転移シフト

 リュートは次元の狭間からの脱出に成功した。

____________________

 あれからどのくらいの時間が経ったのだろうか。100年は経過しただろうか。リュートが居なくなってから、魔王達が力を取り戻し、連合軍の三国はダール王国を残して滅んだ。だが、私達はもう一歩の所で踏みとどまっていた。しかし、時というものは残酷だ。人間には寿命というものがある。亜人の私やローザ、エルフのミラなどは長生きできる。しかし、人間はそうはいかない。最初にアイティオが死んだ。流石のアイティオでも年には勝てない。次にサレナが死んだ。戦いの際に不治の病にかかり、そのまま死んでしまった。そして、ユリウスが寿命で死んだ。勇者という光を失った人類が生存できるのは時間の問題だろう。

 今残っている主な戦力は私クリアとミラ、ローザ、ヌードの四人だ。魔法で寿命を引き伸ばしているルージュは後方支援しかできない。今は私が部隊の総隊長だ。作戦会議室でミラと話をしていた。

 「クリア、次が最後のチャンスだ」

 「うん。わかってる…」

 「リュート…あなたならこんな時どうするの…」

 その時、天から一筋の光が降りてくる。

 「あの光は…まさか!」

 「おい!クリア!」

 私は死にものぐるいで光の元に向かった。そこに居たのは…

 「なんだこの世界?どうなってんだ?」

 紛れもないリュートだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...