異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第13章 天竜の試練篇

第147話 クリアの憂鬱

　今日も朝が来た。私はみんなの朝ごはんを作る。

　「おはようクリア」

　「おはようリュート」

　今日も私の方が早く起きれたみたいだ。サレナは既に特訓で家に居ないが、他のみんなはまだ寝ている。最近はリュートより先に起きることが多い。それ自体はいいことなのだが、こうなったのには原因がある。

　リュートの夜の営みの激しさが前よりかなり控えめになったからだ。だからすぐに起きれてしまうのだ。正直もう少し欲しいのが本音だ。リュートがそうなった原因はやっぱり胸だろう。
　私が子供の体になってからリュートの私への態度が少し変わった。今までのリュートならば激しく攻めてきたが、私が子供になってからは何だか優しくなった気がする。やはり子供の体ではリュートを満足させてあげられないと思った。

　「どうしたクリア？元気ないよ？」

　「ううん。なんでもないよ大丈夫だよ」

　リュートが私を大切にしてくれてるのは十分に理解している。だが、それでも私はもっとリュートを満足させてあげたい。今のままではダメだ。

　「クリア。急がなくていい。時間はたっぷりあるんだ」

　「えっ？なんのこと？」

　「隠してもわかるよ。あんまり俺のために頑張らないでくれ」

　リュートには、隠し事はできない。私が考えていることなんてすぐに見透かされてしまう。

　「でも、リュートも私のためも頑張ってる。私にも頑張らせて？」

　「クリア。俺はクリアに辛い思いはさせたくない」

　「お願いがあるのリュート。私を試練に行かせて」

　そう、試練だ。モンスターと戦ってランクを上げ進化をすれば、再び胸が大きくなるはずだ。私がリュートをさらに癒す力を手に入れるにはこれしかない。いや、これが一番手っ取り早い。

　「クリアの願いだ。無下には出来ないよ。応援しか出来ないけど頑張ってくれ。あまり無理はしないでくれよ？」

　「ありがとうリュート！みんなにも伝えるね」

　朝食を作り、サレナが特訓から帰る頃にはアイティオとスプラも含めた全員が集まる。

　「みんな聞いて。私、修行するためにしばらく家を出る。私が満足する結果になるまでは帰らない」

　「おひとりで大丈夫ですか心配ですが、クリア様なら大丈夫ですわ」

　「それにしても急だが、応援するぞクリア」

　「無茶しないでくださいね」

　「クリアがいない間のリュートの世話なら私に任せなさい」

　「お願いね。ローザ」

　世話が出来なくなるのは少し寂しいが、一時の我慢だ。

　「それならばいい場所を知ってるよ。天のダンジョンだ」

　アイティオが話し始めたのは、かつての伝説しか残っていない古代のダンジョンだ。前に行った天空のダンジョンよりもさらに上空にあるようだ。

　「わかった。そこに行ってみる」

　「気をつけるんだよ」

　「頑張ってくださいクリアさん」

　アイティオもスプラもみんなが私を応援してくれた。

　こうして、私、クリアは試練の旅に出かけるのだった。