異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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外伝 新米転移者の異世界生活 2

その14 魔族が攻め込んできた件

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 「皆さん!屋内に避難を!魔族が攻めてきます!」

 ダール王国の兵士が住民達の避難誘導をしている。どうやら本格的に魔族が侵略を開始したようだ。

 「カナトさん!私達も逃げましょう!」

 「いや、エスト俺は戦うぞ」

 「本気で言ってるんですか?」

 「もちろん俺は本気だ。まだ短い期間しか過ごしてないが、ここはいい街だ。この街を魔族の好きにさせてたまるか。エスト、君は隠れててくれ」

 「…」

 エストは俯いた。まぁ無理はない。俺は魔族に会ったことがないから怖さがわからないのだ。だが、エストは魔族の恐ろしさを知っているのだ。

 「私も戦います」

 「大丈夫なのかエスト?」

 「カナトさんが戦うのに私だけ呑気に隠れて待つなんて嫌です」

 「よく言ったエスト!大丈夫だよ、俺が絶対君を守るから」

 「ありがとうございますカナトさん!」

 俺とエストは二人、ダール王国北門へ向かう。

 「カナトさん、どうして北門に来たんですか?魔族は南の方から攻めてきますよ?」

 「南門にはたくさんの兵達が陣取っている。あちらの守備は万全だ。そんな中こちら側はどうだ?南に戦力を集中している分こちら側は手薄になる。俺が敵将だったら、がら空きのこっち側から攻めるね」

 そう、南の警備は万全だが、北側はがら空きだった。俺の勘がこちら側が危険だと感じた。

 「本当に来るんでしょうか?」

 「いや、奴らは来る」

 北門に辿り着いた。こちらの門には最小限の門番兵士二人しか居ない。

 「君たち!外は今危険だ!」

 「街の中心部に逃げた方がいい」

 兵士二人に声をかけられる。

 「いや、兵士さん。こちら側の方が危険だ」

 兵士に俺の考えを話す。

 「確かにそう言われればそうだが…」

 「確証がないならそういう訳には…」

 その時、北門の更に北側の空にゲートが出現した。

 「ば、馬鹿な!」

 「本当にこちらから攻めてくるのか?」

 「兵士さん達は増援を呼びに行ってください」

 「君たちは?」

 「俺たちであれを留めます」

 「大丈夫なのか?」

 「こう見えても強いんで!それよりも急いで!」

 「あぁ、健闘を祈る!」

 兵士二人は増援を呼びに行った。

 「まさか本当にこっち側から攻めて来るなんて…」
 
 「無理はするなよエスト?」

 「はい」

 ゲートから数千体の魔族が地面に降り立つ。俺達は隠れてその様子を窺う。

 「へぇ。これが人間界か!」

 「美味そうな魔力をたくさん感じるぜ!」

 普通に言葉を話している。やはりモンスターとは一味違うようだ。

 続々と魔族が押寄せる中、明らかに一人強そうな奴がいた。

 「ハブラーガ様!作戦は成功です」

 「ハッハッハ!そうか、やはりこちらは手薄か!今が好機だ!デイヴィスより先にこの国を裏から制圧するのだ!」

 こうして、北門にハブラーガ率いる魔族達が集ったのだった。
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