異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第14章 侵略する帝国篇

第171話 救出

　「やりましたね」

　「そうだな」

　ヴォイドは跡形もなく消し飛んだ。

　「皆さんを救出に行きましょう」

　「あぁ。急いだ方がいいな」

　そんな話をしていると、ソーマが近づいてきた。

　「私は行くところがあるのでこれで失礼するよ」

　ソーマはどこかに向かって歩いて行った。彼のおかげでルージュを取り戻せた。いつかしっかりと例を言おう。

　「近くの二人から探そう」

　真眼を発動させ、周囲に誰かいないか探す。

　「居た。こっちだ。よかった、二人とも無事みたいだ」

　一番近くに居たのはクリアだった。爆発の衝撃と地面に叩きつけられる衝撃を重力で多少は軽減できたみたいだ。しかし、それでも衝撃は凄まじかったらしく、クリアは気を失い、身体の至る所に傷が出来て、服も破れている。

　「あぁ…私の性で…」

　「大丈夫だ。ルージュは気にしないで」

　「でも、クリアさんに傷を…」

　「俺に任せてくれ」

　そして俺はクリアと唇を重ねる。俺の体液には治癒効果がある。回復させるにはこうやった方が手っ取り早い。

　クリアの体にできた傷がみるみる塞がっていく。
　　
　「ん…んん？」

　無事にクリアの意識も戻ったようだ。

　「大丈夫か？クリア」

　「ごめんなさいクリアさん！私の性で…」

　「大丈夫だよ。私、リュートもルージュも信じてたもん」

　「クリアさん…」

　うん。クリアはマジの女神だ。尊い。

　「あのーリュート？」

　「ん？どうした？」

　「傷を治してくれたのはありがたいんだけど、服も直してくれない？」

　クリアは露出した胸を隠しながら恥ずかしそうに言った。

　「あっすまん」

　急いでクリアの服を作り直した。

　「あっちにローザが居る」

　「行こう！」

　「はい！行きましょう」

　ローザはクリアより深い傷は負っていなかったが、それでも怪我をしており、意識は無かったので再び治療する。

　「ん。んん？」

　傷が塞がり、ローザの意識が戻った。

　「あれ？私、一体？」

　前後の記憶が少し曖昧なようなので一部始終を説明した。

　「ごめんなさい！ローザさん！」

　「ルージュは悪くないよ。だから、気にしないで」

　「ありがとうございます。ローザさん」

　さて、近くの二人は見つけたが、残りの二人は一体どこへ？

　「リュート様！」

　「リュート！ルージュ！」

　その時、遠くから二人が走って来た。ミラはすぐにルージュに抱きつく。

　「ルージュ！お前なんだな！」

　「はい。迷惑を掛けてしまってすみませんでした」

　「気にしないでくれ。私もお前を守れなかった。ゴメンな…」

　「先生…」

　二人は泣きながら再会を喜んでいた。

　「サレナ？そっちは何があったんだ？」

　「私達は…」

　サレナは自分の身に何があったのかを説明をし始めるのだった。