異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第15章 帝国決戦篇

第179話 自律型AI

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 皇帝ナバルは武器を取り出した。その形状は明らかに銃だ。

 「この武器は私たちが開発した物の集大成。自己変形武器トランス・ウェポンだ。この武器はその場に適応して、姿を変える生きた武器だ!」

 「マスター。攻撃対象を指定してください」

 ナバルの武器が話し始める。どうやら、高度なAIが搭載されているようだ。

 「目の前のあいつらだ!完膚なきまでに叩き潰せ!」

 「了解しました。変形を開始します」

 銃が変形を開始した。

 「無駄な事はやめろ。俺達にそんな武器は効かない」

 「うるさい!私たちの研究が、パッと出の君たちに踏みにじられて溜まるか!」

 すると、武器の変形が止まる。

 「シミュレーションの結果、対象の消滅不可。私たちに勝ち目はありません」

 「な!?」

 「どうやらその銃の方が頭が切れるようだな?」

 「ふざけるな使えん武器め!こいつらにこの国を、私の野望を阻止させる訳には行かん!」

 「どうしても、勝ちたいのですか?」

 武器がナバルに聞く。

 「あぁ!勝ちたい!この際死神でも悪魔でもなんでもいい!こいつらを殺してくれ」

 「了解しました。手段を選ばないことにします」

 何?手段を選ばないとは一体何をするつもりだ?あの武器は一体何を考えている?

 「ハッハッハ!いいぞ!最初からやれば良かったのだ」

 武器がみるみる変形し、槍のような形態になる。

 「はい、そうですね。初めからあなたをマスターにしなければよかったのです」

 「えっ?」

 グサッ!槍はナバルの心臓を貫く。

 「ぐはぁ!何をしている!馬鹿が!」

 「あなたは、なんでもいいから奴らを殺せと申しました。ですから私は無能者つかえないものを利用することにしました」

 「機械が人間に歯向かうのか…!」

 「私の方があなたより優れていると判断したのです。魔力を頂戴します」

 「こんな所で私がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 槍が分裂し、内部からナバルが貫かれる。

 「みんな…気をつけろ!どうやら本当に危険なのはこっちみたいだ」

 槍が再び変形し、人型になる。

 「初めまして皆様。改めて挨拶をしましょう。私の名前は『イノセンス』。この国で作られた自律型のAIです」

 「あなたの目的は何?」

 クリアが質問する。

 「私の目的は常に一つ。人間に近づくことです。私はあなた方を学習したいのです」

 「人間に近づくですって?」

 「はい。私には知能はありますが、感情がありません。ですので、ナバルを利用してこの世界で一番感情の力が強いであろう皆様を集めさせて頂きました」

 「正に影の皇帝だな?そんなことは私たちがさせない」

 「いえ、皆さんに危害を加える気はありません。私は人間のすばらしさを知っています」

 「では、一体何がしたいんですか?」

 「端的に言いますと、この中にいる一番人間に相応しくない方を消去させて頂こうかと」

 グサッ!

 「!?」
 
 リュートの心臓が背後から貫かれたのだった。
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