異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第15章 帝国決戦篇

第184話 覚醒、再び

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 「リュート?あの城をどうにか出来るの?」

 「あぁ、できる」

 漫画やアニメなどではよくある展開だ。不死身の敵を太陽に飛ばしたり、攻撃が効かない敵を封印したりと、強大な敵には様々な対処法がある。その中でも単純かつ、確実なものの一つとして上がるのが、敵の再生力を上回る破壊力で攻撃するというものだ。今回は本気という本気は出せていなかったので、いい機会だ。

 「よし、みんな少し離れててくれ。この辺りがどんな惨状になるか、俺もわからないからな」

 「何をするおつもりですか?」

 「簡単なことさ、サレナ。アイツを粉々にして、この世界に平和をもたらすんだ」

 「君にはそう言った力があるのですか?」

 ソーマが聞いてくる。

 「無ければこんな大事は言わないさ」

 圧倒的な破壊力。そう、覚醒だ。そんな、覚醒で心配事があるとすれば一つ。みんなは俺の覚醒した姿を見ていない。驚いたり、恐ろしがられたりしないだろうか。いや、みんななら、大丈夫だろう。

 「さぁ、俺の中の内なるものよ!目覚めよ!」

 ドックン!体の内側から力がみなぎってくる。

 『覚醒アウェークニングしますか?』

 「はい」

 『覚醒アウェークニング承認。覚醒を開始します』

 ビキビキ!バキバキ!体が変化していく。角や尻尾が伸び、鱗が生え、牙や爪が伸びる。翼が立派になり、右手の刺青が伸びるように全身に入る。

 『覚醒が完了しました』

 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 あふれる力が咆哮を促す。それだけで辺りの地形が変化する。

 「あれがリュート氏の本気…」

 「未知の力です」

 あまりの迫力にソーマは言葉を失う。ソーマの背中で眠っていたニューイノセンスも目覚めて、その様子を伺う。

 「リュート…凄い…」

 「なんてお力…素晴らしいですわ」

 「こっちが吹き飛びそうだ!凄いなリュートは!」

 「これなら行けますよ!」

 「そうよ!リュート、やっちゃって!」

 みんなの声援がますます力を呼び起こす。

 「さて、行くぜぇぇぇ!城ぉぉぉ!」

 普段は割とクールなリュートだが、感情の昂りでテンションも上がる。

 「牢怒アンガー・バインド!」

 ゴゴゴゴゴ!城が強制的に浮かび上がり周囲の瓦礫を集めながら、固まっていく。

 「名残惜しいが、これで終わらせる」

 リュートの右手に力が収束し始めた。その力はどんどん増していく。右手から黄金の光が溢れ出し、リュートが光に包まれる。

 「!?消えた?いや、彼処か!」

 ミラは一瞬でリュートが浮き上がっている城の真下に移動したのを目撃した。

 「終わりだ!爆怒アンガー・ノヴァ!」

 リュートは右手を上空に突き上げる。すると、体を纏っていた光が、城に向かって飛んでいく。リュートを中心として光の柱が出来上がった。そのまま光は城を貫き、天まで伸びていく。

 「焉怒アンガー・エンド!」

 その掛け声とともに、リュートの周囲にあった光に貫かれたもの全てが虚無になったのだった。

 

 
 
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