異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第16章 手に入れた平和篇

第194話 占い師

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 魔法研究会に出席した翌日。俺はまたやることが無いので町をぶらついていた。
 今日はみんな何かしらの用事があり、暇なのは俺一人だった。まぁこういう、一人の時間もたまには大切だろう。
 
 と言うわけで、特に何かをする訳でもなく、街を探索している。街は今日も冒険者で賑わい、ギルドも人が多く賑やかだ。

 人々で賑わう大通りから少し抜け、裏道の方に入っていく。裏道の方にあるのはほとんどが家だ。この国の人口も増え、土地も少なくなってきたようだ。だが、まだチラホラと空き地があり、これからの発展を感じ取ることが出来る。

 「そこのお兄さん?」

 「ん?」

 歩いていると、急に声をかけられた。女性の声がした方を向くと、怪しげな格好をした人物がいた。

 「俺に何か用か?」

 「私は占い師をやっています。貴方のことを占わせていただけませんか?」

 「うーん」

 占いか…。現実世界にいた頃は占いなど、ろくに信じたことも無い。だが、この世界に来て、様々な魔法があることを学んだ今の俺は信じても良い気がしている。

 「まぁ暇だし、構わないよ」

 「ありがとうございます。どうぞ家の中へ」

 占い師はそう言うと、リュートを家の中に通す。家の中には、いかにもな水晶が置いてあった。

 「さて、久しぶりね。リュート」

 占い師の口調が唐突に変わる。しかも聞いたことがある声だった。

 「ん?誰だ?」

 「私よ。貴方に命を救われた魔族、ヌードよ」

 すると、占い師は怪しげなローブを脱ぎ捨てた。そこには、かつて戦いから逃がした魔族がいた。

 「こちら側に付いたとマギから聞いていたが、まさかこんな所にいるとはな」

 「まぁ、これには深い訳があって…。まぁそんなことより!私は今、占い師として商売しているの。私はスキルで触った相手の事が少し読めるの」

 「なるほど。その力を占いに生かしたわけか」

 「貴方には感謝してもしきれないわ。貴方のおかげで、私たち魔族は平和に暮らすことが出来ています。隊の代表として礼を言わせて欲しいわ」

 「いやいや、気にするなよ」

 「優しいのね。そんな貴方の心理が気になるの。だから、私に貴方を占わせて欲しいわ」

 「あぁ、わかった。どうすればいい?」

 「そこの椅子に座って」

 リュートが椅子に座る。

 「右手をこの水晶の上に置いて」

 リュートは水晶に手を置く。

 「では、失礼するわ」

 そのリュートの右手の上に、ヌードは両手を重ねる。すると、水晶の中に何かが現れ始める。

 「こ、これは…」

 ヌードは突然、驚きの声を上げる。

 「ん?一体何が見えたんだ?」

 「あ、貴方…数年以内に…死ぬわ」

 「えっ…」

 ヌードの口から出たのは衝撃の一言だった。
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