異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第16章 手に入れた平和篇

第195話 死の運命

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 俺が死ぬ?そんな馬鹿な…。

 「どういうことだ?ヌード?」

 「この水晶は未来を写すわ。でも、貴方の未来がこの水晶に写らないの」 
 
 水晶に目をやると、なんの変化も感じられない。実際、水晶には何も写っていない。

 「この水晶に未来が写らない。即ち、貴方という存在がこの世から亡くなってしまうことを意味しているわ…。私が見透せるのは一年後。つまり、一年後までに貴方は何かしらの出来事で死ぬということよ」

 「今まで占いが外れたことは?」

 「無いわ…」

 にわかには信じがたい。しかし、俺にはどうすることも出来ないのも事実だ。

 「俺に何か出来ることはあるのか?」

 「実際、死ぬような出来事が起こるかは分からないわ。私から言えるのはそれだけね」

 俺に死を迎えさせるような出来事がこれから待っているということだ。

 「面白いじゃないか…」

 「貴方、笑ってるの?」

 リュートは死の宣告を受けて尚、笑った。自分を死に追いやるような奴がこれから現れるということだろう。それだけの奴と戦えると考えると少し楽しみでもある。

 「大丈夫さヌード。俺は死なないさ。そんな運命、俺が変えてみせるよ」

 「貴方を見ていたら何だか大丈夫な気がしてきたわ」

 病は気からという言葉もあるし、考えすぎも良くないだろう。

 「ごめんなさいね。貴方を占おうなんて変なこと言わなければこんなことにはならなかったわ」

 「いやいや、本当に気にしないでくれ。そういう事がわかっただけでやれることは多くある。ありがとうな」

 「お礼なんて…」

 俺はヌードの家から出る。

 「じゃあな、今度はうちにも遊びに来てくれ」

 「ええ、気が向いたら行かせてもらうわ」

 「あぁ」

 こうして、リュートはヌードに再開したのだった。

 リュートが去った後、家に戻ったヌードは、驚きの声を上げた。

 「リュート。貴方は一体、何者なの?」

 ヌードの視線の先にあったのは粉々に砕けた水晶玉だった。
 
 「あの水晶は神からの干渉でもされない限り砕けないはずよ。本当に神の力でも働いたとでも言うの…?」

 ヌードは、未来予知のついでにリュートの心の中を調べようとしていた。しかし、何も見ることができなかった。何かに遮られたように感じたのである。こんなことは初めての経験だった。

 「リュート。貴方なら神すら倒してしまいそうね」

 既に一柱の神をリュートが撃破していること、リュート自体が既に神の一端だということをヌードは知る由もなかった。

 また、これから先のリュートの運命が激動することも、知る由はなかった。
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