異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第16章 手に入れた平和篇

第196話 ミラと射撃訓練

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 死の宣告から数日。いつもと特に変わらない生活を送っていた。今日も今日とて俺には仕事が無い。

 今日はミラの訓練に同行することにした。今俺は、ミラの後に付いて歩いている所だ。どうやら訓練場は国の外にあるようだ。

 「な、なぁリュート?本当に私に付いてくるのか?」

 「あぁ。どうせ家に居ても何もすることがない。せっかくだから俺も一緒に訓練しようと思ってな」

 「付いてくるのは構わないのだが、本当に面白みがないぞ?」

 「いやいや、構わないさ。初めから訓練に楽しさを感じようなんて微塵も思っていないさ。それとも、俺が付いてくるのは嫌だったか?」

 「それはずるいぞリュート…私がリュートと一緒にいれることを嫌になるわけがないだろう?」

 「なら、構わないだろ?」

 「あぁ。だが、着いてから後悔するなよ?」

 しばらく森を進むと、開けた場所に着いた。そこには、ボロボロになった射撃用の的や、折れた矢などが散乱していた。

 「これは…全部ミラが?」

 「あぁ、昔から様々な場所で訓練を行っていたのだが、ムガ王国に住むようになってからはこの場所を使っている」

 辺りに散らばった無数の矢は全て、ここ数ヶ月で使用されたものということだ。それだけ、ミラは訓練を続けているということだ。

 「さて、始めるか」

 ミラは持って来ていた弓矢を取り出す。とりあえず、ミラの事を見守ることにする。

 ミラは弓を構えて集中する。風の音と、葉っぱの揺れる音だけが当たりを満たす。弓を引き絞り、放つ。矢はぶれることなく的のど真ん中を貫く。

 「あぁ、リュート。なるべく私の近くに居てくれ、的がそっちにもあるんだ」

 辺りを見回すと、周囲の木の至る所に的が置いてある。俺の後ろにも置いてあった。ミラに言われた通り、邪魔にならないようにミラの近くでしゃがむ。

 「よし、行くぞ…」

 再びミラが弓を引き絞る。矢が放たれ、前方の的の中心を捉える。そして、次気づいた時には既に、別の的への矢が放たれている。それが繰り返され、ミラの周囲にあった的は全て、中心を貫かれた。

 「やるな。流石はミラだ」

 「リュートが居て少し緊張してしまったよ」

 緊張したと言ったミラだが、全くぶれることない射撃をこれだけ繰り返せるのだ。並の弓使いではこんな風には行かないだろう。

 「これを毎回やっているのか」

 「まぁそうだな、訓練は己の自信に繋がるからな」

 『己の自信に繋がる』か…。いい言葉だ。ミラの溢れ出す自信はここから来ているのだろう。

 「よし、俺も見習って、少し射撃の訓練をしてみるか」

 魔銃コロナを取り出す。

 「私も負けていられないな」

 こうして、ミラと射撃の訓練をしたのだった。
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