異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第17章 竜神達のバカンス篇

第206話 クリアとの一日

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 ルージュとの一日より、更に数日後、今度はクリアとの一日だ。

 「お待たせリュート」

 ぐぅ。可愛い。いつもクリアは可愛いが、服が違うと一際可愛く見える。

 「リュート。行こうよ」

 「あぁ」

 俺は相変わらず、クリアに言われた通りに動く。クリアもルージュと同じように店を見たり、欲しいものを買ったりして過ごす。

 「な、なぁクリア?」

 「ん?どうしたの」

 「飯はどこに行くんだ?」

 軽くトラウマになったあの出来事を思い出してしまった。

 「あそこのお店にしようか」

 クリアが選択したのは普通の飲食店だった。とりあえずは一安心だ。これで、クリアまで辛党だったら俺の舌が死んでいた。 

 普通に食事を楽しみ、再び色々見て回る。普通のカップルみたいに手をつなぎながら歩き、食べ物をイチャイチャとシェアして過ごす。何気ない日常感が逆に良い。

 そんなこんなで楽しい時間は、あっという間に時間は過ぎ、空はオレンジ色になっていた。

 「どうだ?一日満喫できたか?」

 「うん。とっても楽しかった」

 景色が綺麗な高台の広場には俺達二人しかしない。そこにあるベンチに二人で寄り添いながら座っていた。

 「リュート、改めてありがとうね」

 「どうしたんだよ急に」

 「私、あの時リュートと出会って無かったらこんな風に幸せな時間を過ごすことなんてできなかった」

 「懐かしいな…あの時はお互い人間型じゃなく、ただの竜だったな」

 今まで色々なことがあったが、まだ数ヶ月しか経っていない。あれもこれもだいぶ昔のように感じる。それだけこれまでが充実していた証拠だろう。

 「私、こんなにリュートに愛されてる。辛いことも沢山あったけど、リュートと一緒ならどんなことも耐えられそうだよ」

 「俺も今まで生きてきた中でクリアが一番大切なものになったよ」

 真っ直ぐな気持ちの篭もった言葉に少し照れくさくなる。俺の口からも自然と素直な言葉が出る。お互いにいい雰囲気になり、自然と顔が近づく。

 「リュート…」

 「クリア…」

 人目がないのをいいことに雰囲気に流され唇を交わす。

 「えへへ。突然ごめんね。ちゅーしたくなっちゃった」

 クリアは赤面して顔を離す。わかっていることだが、めちゃくちゃ可愛い。俺はクリアやみんながいる限り絶対に誰にも負けない。どんなやつからでも守ってみせる。改めてそう決心した。

 「クリア…この後どうする?」

 「まだまだリュートと一緒にいたいけど、みんなに悪いから…」

 「みんなの事は気にしなくていいんだ。これはクリアが勝った景品なんだから、クリアの好きにしていいんだぞ?」

 「そ、それなら、明日の朝まで離さないよ」

 「望むところだよ」

 こうして、クリアとの1日も満喫したのだった。
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