異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第18章 竜神の日常篇

第211話 大量発生

　三人の飲み会より数日。俺たち感情的な色彩の元へ仕事が入った。

　「どうやら今回の依頼は人手がいるようだな」

　「そうだね。みんなで力を合わせようよ」

　依頼者は何と、ユリウスだ。内容はこうだ。今、ダール王国とムガ王国の間の洞窟で謎のモンスター大量発生が起こっているらしい。一体一体の強さは大したことは無いようだが、数が多く、並の冒険者では苦戦してしまうようなので、俺たちに依頼が来たようだ。

　「よし、三手に別れよう」

　洞窟は三方向の入口があり、内部で繋がっている構造をしている。だから、俺たちは三チームにチームを分けた。第一部隊は俺、クリア、ついでにコットンの遊撃部隊。第二部隊は殲滅特化のサレナ、ミラのチーム。第三部隊は支援特化のルージュ、ローザのチームだ。

　「よし、頑張ろうなサレナ」

　「ええ。もちろんですわ」

　「私達も負けないわ。ね？ルージュ」

　「はい。私たちが一番活躍しますから！」

　みんなやる気は十分なようだ。

　「グルル！」

　「リュート？本当にコットンも連れていくの？」

　「あぁ、クリアが居れば大丈夫だろ？」

　相変わらず俺に対する敵対心が強いコットンだが、その強さはモンスターを抜いている。数がいる今回の戦いでは必ず必要になる場面があるはずだ。そう考えたのだった。

　「よし、久しぶりの感情的な色彩。出撃だ！」

　「「「「「了解！」」」」」

　街の外に出て、俺は竜形態ドラゴンモードに変身する。そして、みんなを背にのせ、依頼のあった場所へ向かう。

　「あった。あの洞窟か」

　国に近く、行きやすい場所にあり、人気のダンジョンだったが、今は人っ子一人居ない。

　「よし、解散して突撃だ。みんな健闘を祈る」

　俺たちは予定通り三手に別れた。俺もクリアとコットンと共に洞窟内部へ向かう。

　「居た。アイツらか」

　そこには尋常ではない数のモンスターがひしめき合っていた。スライムやゴブリン、スケルトンなど、雑魚中の雑魚モンスターばかりだ。

　「よし、やるぞクリア、コットン」

　「わかった。コットン？あのモンスター達を倒すのに力を貸して？」

　「アオーン！」

　クリアの命令の効果は絶大でコットンはモンスターを喰らい始めた。どんどんとモンスターを喰らい、飲み込んでいく。

　「おいクリア？あれ、大丈夫なのか？」

　モンスターというよくわからない物を体内に接種してコットンは大丈夫なのだろうか。少し心配である。

　「多分大丈夫だよ。私たちも戦おう？」

　「そうだな。すぐに終わらせよう」

　「うん」

　俺は魔法陣をモンスター達の頭上に出現させる。

　「まとめて次元の狭間行きだ！次元操作ディメンションプロセス･転移シフト！」

　一瞬で魔法陣の範囲にいたモンスターは跡形もなく消えた。

　「私も！重力操作グラヴィティプロセス･透渦クリアボルテックス！」

　重力の渦がモンスターを吸い込んで消滅させていった。

　こうして、俺たちはあっという間にモンスターの大量発生を片付けたのであった。