異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第19章 最強の証篇

第237話 剣聖と大魔導士と天竜姫と聖射手

　「ふうぅぅぅぅぅぅ…」

　あの無傷伝説で有名な勇者王ユリウスに正面から挑み、それを制した。ユリウスはリュートに地面に叩きつけられ、気絶した。

　「俺の勝ちだな」

　みるみる体が元の状態に戻って行く。

　「う、うおぉぉぉ！」

　「アイツ！勇者王に勝ちやがった！」

　「すげぇぞ！」

　俺たちの戦いに観客達も満足してくれたようだ。

　「おい！大丈夫かユリウス？」

　ユリウスの顔をペシペシと叩く。

　「う、うーん…。いたたたたた…」

　ユリウスが頭を抑えながら起き上がる。

　「はぁ…負けてしまいましたか…。流石はリュートさんです。正にこの世界に敵無しですね」

　「さて、何時までも負けたことを気にしていても仕方ありません。気を取り直して次の試合です！」

　さっきまでへばっていた奴とは思えない切り替えの速さ。とんでもない回復力だ。下手したら負けていたかもしれない。

　「さて、リュート様に続きますわ」

　「サレナさんに勝ってみせます！」

　第四試合、サレナ対ルージュの幕が上がる。

　「カーン！」

　試合開始の鐘と同時にルージュが仕掛ける。

　「速攻で決めさせてもらいますよ！」

　ルージュの前方に巨大な魔法陣が出現する。

　「魔法竜巻マジック･サイクロン！」
　
　巨大な炎や雷がまじった竜巻が、サレナの元へ押し寄せる。しかし、サレナは微動だにしない。

　「サレナさん？何故動かないんですか？」

　サレナは激しい炎や雷にも動じることなく、ただただ剣を握る。既に竜巻は目の前まで来ていた。

　「なっ！」

　チャキンッ！サレナが剣を抜き、しまうと同時に竜巻が真っ二つに切れ、サレナを避けていく。

　「くっ…流石は剣聖…。次の魔法を…」

　「ルージュ様？魔法に頼りすぎですわ。今度近接攻撃の訓練をした方が宜しくてよ」

　サレナは既にルージュの心臓に剣を突きつけていた。

　「ま、まいりました」

　第四試合はサレナが勝利した。すぐ様第五試合も始まる。

　「さぁ！負けないよ！ミラ！」

　「クリアと私の戦闘スタイルは相性が悪いが、負けるわけには行かない」

　「カーン！」

　第五試合の幕が上がる。

　「行くぞ！破滅の雨ルイン･レイン！」

　ミラはクリアの頭上におびただしい数の矢を放つ。

　「私に遠距離攻撃は効かないよ！重力操作グラヴィティプロセス！」

　ピタッ。矢は降ることを止め、空中で停止する。

　「くっ！やはり相性が…」

　苦し紛れにミラはクリアに矢を打ち続ける。

　「はぁ！」

　「ぐっ…コレがクリアの…重力か…」

　ミラは弓を構えて矢を番えようとしたところで固定された。クリアが矢の間を抜けて、ミラに近づく。

　「ゴメンねミラ。私の勝ちだよ」

　ズズン！ミラはクリアの重力で地面に押し付けられ、無念のギブアップとなった。