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第20章 終わる日常篇

第240話 天界

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 あの闘技大会から数ヶ月。俺は再び何も無い平和な生活を送っていた。いつもの如く俺の仕事は無く、サレナ達には仕事がある。

 「クリア?今日何か仕事入ってたか?」

 「えっと…入ってないよ」

 「そうか…」

 闘技大会後も俺への仕事の依頼が増えることは無かった。別に働かなくても一生食っていける位の財産は所有している。だから、働かなくてもどうということは無いのだが、みんなが時折仕事をしている中、俺だけがずっと家に居るのはどうか思う。

 「なんかやらないとな…」

 しかし、特にこれといってやることが見つからない。家事は全部クリアが終わらせているし、買うものもない。

 「まぁ、コレが平和って物か」

 そんなありきたりで平和な日常が崩壊するのはいつも突然の事だ。

 「!?」

 突然リュートの体が白く光り始める。

 「な、何だ!」

 「わ、私の体も?」

 クリアも同じく光を放っている。

 『強制転移が使用されました。あなたは転移します』

 「な!」

 目の前が真っ白になり、体が浮き上がるような感覚に陥る。

 「こ、ここは?」

 目を開けると、俺は何も無い真っ白な空間に移動していた。辺りを見渡しても何も無い。クリアも同じような状況になっているのだろうか。どういう原理か、俺は何も無い場所に立っている。

 「歩ける…進んでみるか」

 何も無い空間をひたすら進む。

 「何も無いな…」

 進めど進めど何も無い。

 「仕方ない次元操作で移動してみよう」

 『使用権限がありません』

 使用権限が無いだと?いったいどうなっているんだ?魔法が使用できなくなっていた。仕方が無いのでとにかく進む。

 しばらく歩いていると突然目の前が眩しくなり、再び目が眩む。目が慣れてきたので、目を開ける。

 「なっ!ここは!」

 そこには俺が見知った世界があった。高いビルに、走る車、換装された道路。俺がよく知る日本の街並みそのものだ。

 「ようこそ天界へ」

 道を歩いていた人に話しかけられた。よく見ると、変わった格好をしていて、白い羽根が生えている。

 「て、天界?」

 「はい。こちらは神たちが集う天界でございます。私は神に仕える天使の一人、ナフと申します」

 天使みたいな格好だと思ったら本当に天使だった。

 「なぜ俺はここに?」

 「それは、ある神にあなたが呼ばれたからです。私はそちらまでの案内を承っております」

 パチン!ナフが指を鳴らす。すると、目の前に明らかに高そうな黒い高級車が止まる。

 「こちらでその方の元へ案内致します。どうぞこちらへ」

 俺はナフと共に高級車に乗り込んだ。

 こうして俺は、謎の神の力により、天界に転移させられた。俺の日常が確実に壊れ始めたのだった
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