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第20章 終わる日常篇
第246話 絶望は希望へ
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冷たくて暗い…ここは…?海の中か…。
そうだ、俺は神アルトに敗北し身体の大半を消され、終いにはクリアも失った。
体はもう動かず、次第に意識も薄くなってきた。俺はもう死ぬのだろう。サレナ達を残してきた事が最大の心残りだが、死からは逃れなれない。
「占い…当たっちまったな…」
ヌードに占われた死の運命が本当のことになってしまった。
「クリア…今俺もそっちに行くよ…」
徐々に感覚も無くなってきた。痛みは既に感じず、冷たさも感じなくなってきた。これが死というものか…。
思い返せば物凄く濃い人生だった。この世界に転移出来たのだ。転移する前と後では確実に後の方が内容の濃いものになった。異世界にいたのは一年くらいだが、異世界に住むというのは、俺の人生の数十年を過ごすより楽しくて満ち足りたものだった。悔いがないといえば嘘になるが、普通の人では体験できない人生だったのだ。俺は幸せな人生を歩めたのだろう。
そんな風に思いに耽っていると、身体の奥の方で何かが疼くのを感じた。
「これは…海神の加護?」
体内から海神の加護が飛び出し、光を放ち始める。
「光が俺に…」
リュートが光に包まれると、見覚えのある空間に転移していた。
「貴殿。無事か」
聞き覚えのある尊大な声。
「か…海神か?」
「どうやら間に合ったようだな」
「一体何の用だ?」
「この世界の神の仕組みを説明させてくれ。この世界の神には階級がある。一番上に創造神。その下につくのが、貴殿が負けたアルトを含む四神。その下にほかの神々と言った階級になっている。そして、この階級には例外がある。空、陸、海の三神は管理する規模が膨大なので別枠扱いなのだ」
「つまり、何が言いたい?」
「貴殿をここで死なすのは惜しいと思ってな。私の力で貴殿を再生させようと思ってな」
「俺が生き返った所でクリアは生き返らない。生き返る意味が無いんだよ」
すると海神が黙り込む。
「貴殿、神性を捨てる気はあるか?」
「神性を?何故だ」
「貴殿の神性という物を犠牲にして彼女を救うことが出来るかもしれない」
何だと!クリアが生き返る?体に気力が湧いてくる。
「クリアを救うなら神性なんていらない。海神!頼む!」
「わかった。しかし、貴殿に以前のような強さは存在しなくなる。それでもいいのだな?」
「もちろんだ。クリアを助けてくれ!」
「承知した。しかし、私の力にも限界がある。あくまできっかけを与えるだけのものだ。貴殿の願いが叶うかは私にもわからない。貴殿の望みが叶うかは貴殿の努力次第だ」
「それで十分だ。俺はやってみせる。クリアを取り戻してやる!」
「ふっ。やはり貴殿は凄いな…。遠くからだが、貴殿の無事を祈ろう。さらばだ」
声が遠のき、先程までいた海の中に戻る。ありがとう海神。これで俺はまだ死ねなくなった。クリア、君を助けるまで俺は、絶対に諦めない!
暗い海の中で一匹の竜が再び動き始めた。
第一部 右大陸編 [完]
そうだ、俺は神アルトに敗北し身体の大半を消され、終いにはクリアも失った。
体はもう動かず、次第に意識も薄くなってきた。俺はもう死ぬのだろう。サレナ達を残してきた事が最大の心残りだが、死からは逃れなれない。
「占い…当たっちまったな…」
ヌードに占われた死の運命が本当のことになってしまった。
「クリア…今俺もそっちに行くよ…」
徐々に感覚も無くなってきた。痛みは既に感じず、冷たさも感じなくなってきた。これが死というものか…。
思い返せば物凄く濃い人生だった。この世界に転移出来たのだ。転移する前と後では確実に後の方が内容の濃いものになった。異世界にいたのは一年くらいだが、異世界に住むというのは、俺の人生の数十年を過ごすより楽しくて満ち足りたものだった。悔いがないといえば嘘になるが、普通の人では体験できない人生だったのだ。俺は幸せな人生を歩めたのだろう。
そんな風に思いに耽っていると、身体の奥の方で何かが疼くのを感じた。
「これは…海神の加護?」
体内から海神の加護が飛び出し、光を放ち始める。
「光が俺に…」
リュートが光に包まれると、見覚えのある空間に転移していた。
「貴殿。無事か」
聞き覚えのある尊大な声。
「か…海神か?」
「どうやら間に合ったようだな」
「一体何の用だ?」
「この世界の神の仕組みを説明させてくれ。この世界の神には階級がある。一番上に創造神。その下につくのが、貴殿が負けたアルトを含む四神。その下にほかの神々と言った階級になっている。そして、この階級には例外がある。空、陸、海の三神は管理する規模が膨大なので別枠扱いなのだ」
「つまり、何が言いたい?」
「貴殿をここで死なすのは惜しいと思ってな。私の力で貴殿を再生させようと思ってな」
「俺が生き返った所でクリアは生き返らない。生き返る意味が無いんだよ」
すると海神が黙り込む。
「貴殿、神性を捨てる気はあるか?」
「神性を?何故だ」
「貴殿の神性という物を犠牲にして彼女を救うことが出来るかもしれない」
何だと!クリアが生き返る?体に気力が湧いてくる。
「クリアを救うなら神性なんていらない。海神!頼む!」
「わかった。しかし、貴殿に以前のような強さは存在しなくなる。それでもいいのだな?」
「もちろんだ。クリアを助けてくれ!」
「承知した。しかし、私の力にも限界がある。あくまできっかけを与えるだけのものだ。貴殿の願いが叶うかは私にもわからない。貴殿の望みが叶うかは貴殿の努力次第だ」
「それで十分だ。俺はやってみせる。クリアを取り戻してやる!」
「ふっ。やはり貴殿は凄いな…。遠くからだが、貴殿の無事を祈ろう。さらばだ」
声が遠のき、先程までいた海の中に戻る。ありがとう海神。これで俺はまだ死ねなくなった。クリア、君を助けるまで俺は、絶対に諦めない!
暗い海の中で一匹の竜が再び動き始めた。
第一部 右大陸編 [完]
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