異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第二部 第1章 リスタート篇

第8話 新大陸の二人組

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 あれは、人だ!しかも話している言葉も分かる!この大陸にも人間は存在していたようだ。新大陸第一号の人間だ。

 「やっぱり街から西側は未開拓だな」

 「まぁ、この辺りはアイツが居るのだから仕方ないでしょ?」

 そこに居たのは二人組の男女だ。一人は剣を持っている茶髪の男性。もう一人は、杖を持っている恐らく魔法使いの紫髪の女性が居た。

 「ふぅ…この辺にいたモンスター達は大分片付いたか」

 「そうね。そして、もうこの辺りは既にアイツの縄張り。アイツが来る前にここから撤退しましょう?」

 「それもそうだな。俺たちじゃ勝ち目もない」

 (さぁ俺たちはどうするか。このままあの二人組に接触していいのだろうか…。)

 どこからともなく現れても、少女のクリアはまだ何とかなるかもしれないが、俺はそうもいかない。今の俺は話すことが出来ない。ミラ達のように説得することも叶わないだろう。

 「どうするの?」

 クリアが俺に聞いてくる。

 (正直、俺は何も出来ない。この状況を変えられるのはクリアだけだ)

 「ぴぃ、ぴぴぃ」

 「話せないから私に任せるって?私で大丈夫かな…」

 クリアは記憶も曖昧な状態で見知らぬ土地に居るのだ。ましてやいきなり二人に接触しようとするなど、不安でしかないはずだ。しかし、俺はクリアを信じるしかない。

 クリアは俺を抱き抱えながら、二人の元へ走って行く。

 「ん?何かこっちに来てるぞ?」

 「新手のモンスターか?いや、あれは人間か?」

 二人がこちらの存在に気づいた。もう後戻りは出来ない。

 「こんな辺境の地に人間だって?」

 「しかも女の子だよ!」

 クリアが二人の元へ辿り着く。

 「君!どうしてこんな所に居たんだ?」

 「え、えーと…」

 「馬鹿!あまり脅かすな。大丈夫か?どこか怪我はないか?」

 女性の方が気が強い感じで、男性の方は優しそうな雰囲気だ。

 「はい。大丈夫です」

 「そうか。俺の名前はミハエル、こっちの女性はアグノラ。君は?」

 「私、名前が分からないんです。気がついたらこのドラゴンさんと一緒に海に倒れていて…」

 「ぴぃ!」

 とりあえず声を発しておく。

 「そのドラゴンはモンスターよ?今すぐ離した方がいいわ」

 「嫌です!ドラゴンさんは今日までずっと私を守ってくれたんです!」

 「モンスターが人を…まさかこの子、魔物使いテイマーか?」

 「なるほど。そういうことなら合点がいくわね」

 「えーと…多分違うと思いますけど…」

 そんな会話をしていると、

 ズシン!ズシン!何かが近づいてきた音がした。

 「この巨大な足音…まさか!」

 三人の元にあの緑ドラゴンが、姿を現したのだった。
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