異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第二部 第1章 リスタート篇

第7話 草原地帯

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 俺とクリアは命からがら緑ドラゴンの居場所から逃げ延びた。

 「はぁ…はぁ…」

 拠点にした洞窟の近くまで全力疾走したのでクリアの息も上がっていた。

 (ふぅ…。何とか逃げきれたか…)

 「逃げきれてよかった…」

 確かにその通りだ。それにしても何なんだあの緑色のドラゴンは。圧倒的な存在感に圧倒的な力。あのドラゴンのブレスには相手を苔にしてしまう、恐ろしい能力だった。万が一にも勝てるとは思えない。

 (あの草原は迂回した方がいいだろうな…)

 既に日が暮れ、クリアも疲れきっているので、その日の探索は打ち切り、クリアを休ませる。

 「明日はこの森から出れるといいね…」

 「ぴぃ(そうだな)…」

 今日も火の番をしながら朝を待つ。

 日が昇り次の日が来た。

 「おはようドラゴンさん」

 「ぴぴぃ(おはよう)」

 (さて、昨日は洞窟を出て右前方面に進んだので、今日は左前方面に進むことにしよう)

 爆発する木の実で敵の襲撃を躱しつつ、ジャングルのような森を探索する。

 しばらく進むと、木の数が少なくなってきて、辺りが開けてきた。

 「あっ!あっち!」

 クリアが指さす先には先日緑ドラゴンが居た草原のような場所の左側に着いた。緑ドラゴンは右の方にいるようでこちらに姿は見えない。

 (このジャングルに居てもいいことはあまりない。もっと敵襲が少ない場所へ避難したい)

 「ぴぃ!」

 「えーと…森から出ようって」

 「ぴぃ!」

 俺は頭を縦に振る。クリアの戦闘能力は未知数だが、回復できる以外はほぼ皆無に等しいだろう。あの過ごしやすい洞窟の拠点は残しておけば戻った時に使えるだろうから、残しておいて問題は無いだろう。ここはクリアの危険を回避するためにも、ここを抜けて新たな場所に移動した方がいいだろう。

 草原を真っ直ぐ進む。所々に木が生えておりその木には果実が実っている。

 (これは食べられるのか?)

 見た目は洋梨のような形をしている。揺らして果実を落とす。

 (まぁ食えばわかる事か)

 ガブッ!果実にかぶりつく。

 (うん。そこそこ甘く、硬すぎない。決して美味という訳では無いが充分食べられる美味しさだ)

 「私も食べる!」

 クリアにも食べさせ、お互いに腹を満たす。

 (よし、探索を続けよう)

 再び探索を再開し、歩みを進める。すると、草原の中にある少し岩が多い岩石地帯にちょうど休めそうな空洞を見つけた。今夜はここで休めそうだ。

 まだ日が暮れるには早い時間なので、この空洞を中心に周囲を探索する。

 すると、遠くの方で何かが聞こえてきた。

 「おい!大丈夫か?」

 「ええ、何とか!」

 その場所では、二人組の男女がモンスターと戦っていたのだった。
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