異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第2章 爆棘竜の探索篇

第20話 ゴブリンの巣

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 「フゥ。片付いたな」

 リュートの周りにはゴブリンの死体が転がっていた。

 「な、なんて言う強さ…」

 「わ、私たちなんて簡単に殺されてしまいます…」

 振り返ると、俺を見た二人が怯えていた。まぁこの姿だ、無理もない。

 「あ、あの…」

 先程、間一髪だった所を助けたニナが近寄って来た。

 「ちょっ!ニナ!なにやってんの!」

 「危険ですよ!」

 「大丈夫です。あのドラゴンは会話できるみたいですから」

 「え?」

 「会話?」

 ニナが俺に質問してくる。

 「あの、先程は助けて頂きありがとうございました。貴方にお名前はありますか?」

 「俺はリュートだ。よろしくな」

 「リュートさん…ですね?」
 
 「ほんとに喋ってる…」

 「あのドラゴン、一体何者なの?」

 遠くに居た二人も近づいてきた。

 「まぁ素性は明かせないが、この辺りに最近暮らし始めた者だ」

 俺は混乱させない程度に俺の状況を説明した。

 「なるほど。元人間ということですか」

 「そう思ってくれて構わない。あっ、クリア!もう出てきて大丈夫だ。この人たちは話がわかる人のようだからな」

 草陰から白髪の可憐な少女が現れる。

 「初めまして。クリアです」

 「か、可愛い!」

 「こ、これは将来只者じゃなくなるわね…」

 二人はクリアの可憐さに驚いたようだ。確かにクリアは可愛い。

 「で、俺からも聞きたいことがあるんだが」

 「私でよければ聞こう」

 女武闘家が答える。

 「このゴブリンの数の多さの原因はわかるか?」

 「えぇ。恐らく近くにゴブリンの巣があるわ。ゴブリンやオークなどの一部のモンスターは人間をさらって、その人間を使って繁殖するわ。私達もあのままだったら大変なことになっていたかもしれないわね」

 うっわぁ…薄い本とかで見たことあるやつだ。まさかゴブリンが本当にそんなことをやっているとは、尚更放置できない。

 「わかった。俺がその巣を破壊しよう。そうすればゴブリンも大量発生しなくなるし、この辺りも安全になるだろ?」

 「馬鹿言え!巣にはさっきの比じゃないくらいの大量のゴブリンが居るんだ。いくらあんたが竜種でも無理がある」

 「クリア、どう思う?」

 「リュートなら大丈夫だよ。何より、そんな危険な場所は破壊するべきだよ!」

 「決まったな」

 「本当に行くのか?」

 「あぁ。この辺りは拠点に割と近いんだ。クリアに万が一の事があっても困るしな」

 「なんて、勇敢なの…」

 「あ、一つ頼みがあるんだが聞いてくれるか?」

 「何だ?」

 「俺が戻ってくるまで、クリアを守っててくれないか?」

 「わかった。そのくらいならば引き受けよう。気をつけてな」

 こうして、俺はゴブリンの巣破壊作戦を開始するのだった。
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