異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第5章 革命の夜明け篇

第57話 ロート帝国

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 「皇帝陛下!」

 ロート帝国の城内に大きな声が響く。兵士が皇帝の元に駆けつける。

 「なんだ?私は忙しい。報告は迅速にせよ」

 特に何もしていないくせに、偉そうな態度でどっしりと玉座に座る中年太りのおじさんが居る。その人は、この国ロート帝国の皇帝である、ダム・ロート皇帝だ。

 「赫怒竜の討伐隊が全滅したとの事です!」

 「全滅だと?部隊の壊滅では無く?あれだけの奴隷を用意してやったというのに、使えん奴らだ」

 「さらに追加の報告がございます!」

 「何だ?話せ!」

 「先程赫怒竜が冒険者によって討伐された様です!」

 「何だと!それは本当か!」

 「私が聞いた話ですが、追加で向かっていた討伐隊第二部隊が赫怒竜の元に向かったところ、赫怒竜の鱗を持っていた名も知らぬ冒険者がそこに立っていたそうです!」

 「素晴らしい!素晴らしいぞ!長年苦しめられてきた邪魔者をこんなに簡単に討伐するとは、今すぐここにその者を呼べ!」

 「はっ!既に手配してあります!」

 「あの赫怒竜を討伐できるとは只者ではない!しかも、名も知れていないということは、私の部下につかせるのもありかもしれないな」

 しばらく経ち、リュート達が皇帝の前に現れた。

 「よく来た旅の者達よ。私はダム・ロート。この国の皇帝である」

 「これはこれは、皇帝陛下。お会いできて光栄です」

 黒髪の竜人の男は丁寧な受け答えをする。皇帝は想像していたより礼儀正しく、気分が良くなった。
 
 「旅の者よ、そなたの名は?」

 「リュートと申します」

 「リュート!赫怒竜をよく討伐してくれた!褒美を取らせようと思うが、何が良い?」

 「では、皇帝陛下に質問してもよろしいでしょうか?」

 「うむ。そのくらいならなんでも答えてやろう」

 「この国は奴隷商売が盛んと聞きましたが、どのくらいの奴隷がこの国に居るのですか?」

 「うーむ。居すぎて数なんてわからん!奴隷なんて数える価値も無いしな!ハッハッハ!」

 「皇帝陛下はとても裕福そうですが、どのような収入の得方をしているのですか?」

 「そんなの、奴隷達を働かせて税を徴収するだけさ。それでこの国は回るのだからな!」

 「流石は皇帝陛下、これなら心置き無く暴れられそうだ」

 「何?一体何を言って…」

 その時、リュートたちの背後に魔法陣が出現し、そこから倒されたはずの赫怒竜が出現した。

 「なっ!これは一体どういうことだ!」

 「皇帝陛下。貴方のようなクズな人種には消えてもらおうと思ってね」

 「貴様!この私に歯向かうのか!兵士よ!こやつらを拘束しろ!」

 「よーく、周りを見た方がいいんじゃないか?」

 皇帝が周りを確認すると、全ての兵士は既に気を失っていた。そして、リュートの姿が黒いドラゴンに変わって行く。

 「さて、ブレイズ!やるぞ!」

 「あぁ、始めようぜ革命を!」

 黒と赤の竜が並び立つのであった。
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