異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

文字の大きさ
405 / 529
第7章 集いし者篇

第85話 再会する色彩

しおりを挟む
 颯爽とクリアの前に現れたのはサレナ・ホワイトハートと名乗る剣士だった。

 「えっ?今…何て…」

 「ガアアァァァ!」

 脚を切り落とされた、苔むしたドラゴンは植物を切られた脚に絡みつかせ、瞬間的に義足を作り出す。

 「しぶといですわね…」

 「おい!先走るなよサレナ!」

 「そうですよ!未知の場所なんですから慎重に行きましょうよ!」

 「本当にこんな場所にリュート達が居るの?」

 「ご主人様…何処に…」

 サレナが来た未知の樹海の方面から複数の人影が現れた。金髪のエルフ、赤髪の魔法使い、ローブを着込んだ二人組の計四人だ。

 「皆様!かなり強力なモンスターですわ!加勢をお願いしますわ!」

 「わかった、任せろ!」

 金髪のエルフは背負っていた弓を瞬時に構え、矢の雨を降らせる。矢は剣を通さなかったあの苔むした鱗を易々と貫いていく。

 「見たことないモンスターだ…」

 小さい方のローブを着た人物はどこからともなく武器を出現させ、苔むしたドラゴンへ投擲する。

 「私の攻撃は効くのかな?」

 もう一人のローブの人物は槍のようなものを取り出し、苔むしたドラゴンへ突き刺し、動きを止める。

 「グオォォォ!」

 苔むしたドラゴンは息をつく間もない連撃で反撃する暇もない。

 「ルージュ!」

 「わかってます!」

 一人離れていた赤髪の魔法使いが、何かを唱える。

 「よく燃えそうな色をしてますからね!焼かせて頂きますよ!」

 ボォォォォ!苔むしたドラゴンの足元から猛烈な火柱が上がる。

 「ガアアァァァ…」

 苔むしたドラゴンはそのまま為す術もなく、燃え尽きた。

 「ふぅ…。何とかなりましたわ。ご無事ですか?」

 サレナはクリアに絡まっていた蔦を切り捨てる。

 「サレナ…。私はその名前を知って…」

 「どうしましたか?」

 クリアの目からは自然と涙が零れていた。

 「な、泣いてしまわれましたわ!」

 「大丈夫か?」

 全員がクリアの元によってくる。

 「みんな…!私だよ…、クリアだよ」

 「ク、クリア様?!」

 クリアはサレナ達との接触で、既に全ての記憶を思い出していた。

 「みんなぁ!会いたかったよ!」

 ガバッ!クリアは目の前にいたサレナに抱きつく。サレナ達も直感的に感じ取った。今目の前に居るのが本物のクリアだということを。

 「この髪、その声色…。本当にクリア様なんですね…。やっと会うことが出来ましたわ…」

 「ご主人様!良くぞご無事で…」

 「良かった…本当に…」

 それぞれが再会を喜びあった。

 「そうだ!こんな所にずっといる訳にはいかないよ!みんな!リュートの元に行くよ!」

 「リュート様もいらっしゃるのですか!」

 「うん!さっき倒したドラゴンの本体と戦っている所だよ」

 「皆様!行きますわよ!」

 クリアとの感動の再会も一入に、再開したサレナ達はリュートの元へ向かうのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...