異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第7章 集いし者篇

第90話 アル大陸にて

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 リュートはサレナ達からどうやってここまでたどり着いたのかを聞いていた。


 必死の捜索をしたが、サレナ達はリュートとクリアを見つけることは出来なかった。リュートの居ない日を感情的な色彩は悲しく過ごしていた。そんなある日、悲しみに暮れていたサレナ達の元に一人の訪問客が現れた。

 「お邪魔します。と言ってももう家はありませんでしたね」

 「マスター、その発言はあまりよろしいものでは無いかと」

 サレナ達の元を訪れたのは、眼鏡をかけ、白衣を着た男性と丁寧な喋り方をする少女の二人組だ。リュートに救われた異世界からの来訪者マガト・ソーマと新たな生命体ニュー・イノセンスだった。

 「ソーマ様がどうしてこちらに?」

 「リュート氏が行方不明と聞きまして」

 「あぁ…私たちみんなで探したが、痕跡すら見つからなかった…」

 ミラが悲しそうに言う。

 「やはりそうでしたか。しかし、私なら何か力になれるかも知れません」

 「本当ですかマガト様!」

 「リュート氏には返しきれない恩がある。私の全力を尽くします」

 マガトはリュートが消えた海へ、色彩のメンバーと向かう。

 「当時の記憶をイノセンスに読ませてください」

 「分かりました。では、私が」

 サレナが前に出る。

 「サレナ様、失礼します」

 イノセンスはサレナの頭に触れ、記憶を読み取る。

 「よし、考案インベント・スクリーン、実行エクスキューション・投影」

 マガトは生厄の力でサレナから読み取った記憶を映し出した。マガトはその映像を解析していく。

 「リュート氏が何かを握っている…これは…指輪か?」

 「これは!クリア様の指輪ですわ!」

 「なるほど。リュート氏はこれを持って海に落ちたと…。この痕跡を辿れば…」

 マガトは何かを思いついた。

 「考案・魔力探知型ドローン、実行・追跡」

 マガトの頭上に出現した謎の機械が海の上を飛んでいく。

 「深海に魔力の残滓を発見。これは…動いた形跡がありますね」

 「リュート様の魔力ですか!」

 「はい。かなり薄くなってはいますが間違いないかと」

 みんなの目に光がもどり始める。

 「…これ以上の追跡は不可能ですね…。どうやら彼はまだ生きており、この海の遥か向こう側に向かったようです」

 「海の向こうか…」

 すると、マガトが現れたという騒ぎを聞きつけたマギもその場に駆けつける。

 「聞いたことがあります。遥か太古の記録ですが、海の向こうには別の陸地があると」

 「マギさん!それって本当ですか!」

 「あくまで記録なので本当にあるという保証は…」

 「皆様、行きましょう!今すぐに!リュート様を探しに!」

 「あぁ私も同意見だよサレナ」

 「私もです」

 「もちろん、私もよ」

 「下郎を追えばご主人様にも会えるかもしれない」

 「皆様ならそう仰ると思っていました。考案・魔力船、実行・着水」

 ザッパーン!マガトの魔法でサレナ達の目の前に魔力で進む船が現れた。

 「ありがとうございますマガト様。マギ様…」

 「大丈夫です。わかっています。皆様ならリュート様を見つけることができると信じております。国の事は我々に任せてリュート様を!」

 「ありがとうマギさん」

 「行ってらっしゃいませ」

 「我々も幸運を祈ります」

 こうして、サレナ達はマギやマガトに見送られ未曾有の大海原に旅立ったのだった。
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