異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第8章 自国の強化篇

第92話 宮廷魔術師

　リュートは当初の目的であった、サレナ達との再会を果たした。

　「さて、これからどうするか…」

　「リュート様、せっかくですから国を統治してみてはいかがですか？」

　「国か…俺に王なんて務まるのだろうか…」

　「そうですね…宮廷魔術師などを雇うのはいかがですか？」

　「宮廷魔術師？」

　「はい。王の仕事をサポートする秘書のような存在でもあり、宮廷魔術師の腕一つで国が決まると言われる重要な役職ですわ」

　「なるほどな…。しかし、宮廷魔術師か…誰か宛は居たかな…」

　「私は政治には疎いですね…」

　ルージュは残念そうな顔をする。

　「ようやく、わしの出番が来たかの」

　「何奴！」

　ミラが咄嗟に武器を構える。そこに居たのは俺を竜人にしてくれた魔女、イモージェンであった。

　「イモージェン！どうしてここに！みんな、彼女は魔女イモージェン。俺の恩人だ」

　「失礼しました。リュートの知人でしたか」

　ミラも弓を下ろす。

　「わしにかかれば、お主の事など想像がつく。言ったであろう？わしにお前が辿り着く結末を見せてくれと。お主が統治する国がどのような結末を見せるかを知りたいんじゃ。だから国を出て、お主も元へ駆けつけた訳じゃ」

　イモージェンはあの時期から俺がこうなることを予測していたのか！流石は数百年は生きている魔女だ。

　「わしにお主の宮廷魔術師をさせてくれぬか。数百年は生きとるからの、政治についてはそちらの娘たちよりは役に立てるかもしれん」

　「いいのか？」

　「あぁ。構わんぞ。わしをここに住ませてもらうがな」

　「ちょうど空き部屋は沢山ある。そこの好きな場所をイモージェンの部屋として使ってくれ」

　「了解した。では、リュート王よ。国についての話し合いを始めよう」

　全く興味なさげなコットン以外のメンバーで、会議室へ向かう。

　「では、イモージェン。俺は何から始めればいい？」

　「そうじゃな…。まずは兵の発足と、城内環境の整備じゃな。これから賊やモンスターが襲って来た時、いちいちお主が相手をするわけにも行くまい？不在時などは特にそうじゃ」

　「兵か…」

　「リュート様！私にやらせて下さいませ！」

　「サレナ！」

　「私、ムガ王国ではよく兵士たちの指導をしておりました。私がその任に適任なはずですわ」

　「サレナと言ったな。確かにお主はリュート王を最も近くで守る兵士長に向いておるな」

　「ならば、私も兵を束ねるのに一役買おう」

　「私も魔法の使い方なら負けない自信があります」

　「私も諜報や情報収集は得意です」

　ミラとルージュ、ニナも名乗りをあげる。

　「なるほど。いいバランスじゃな。サレナを第一隊、ミラを第二隊、ルージュを第三隊、ニナを第四隊とするのはどうじゃ」

　「いい案ですわ」

　「私も異論はない」

　「そうですね」

　「私もです」

　こうして、リュートの国「フリーダム」に兵が発足した。