異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第8章 自国の強化篇

第95話 使用人面接

　リュートは一人、城に仕えてくれる使用人を探しに街に繰り出した。

　「とは言っても、どこを探せばいいんだろうか…宛がないぞ？」

　城を出たのは良いが、国の中は結構広く、闇雲に探しても仕方がない。歩けば就職希望者が見つかるという訳ではあるまい。

　「どうしたものか…。人材募集…就職…、そうか！」

　リュートは名案を思いついた。リュートは、城の建設にも一役買ってた大工を呼び寄せる。

　「こんな感じでよろしいですかリュート王」

　「上出来だ。ありがとう。後で報酬を送る」

　「有り難きお言葉…」

　大工に頼んで、人通りが多い広場の目立つところに情報を掲示する掲示板を建てた。ここに求人情報を掲載する訳だ。

　「これで良しっと」

　城の管理してくれる者を募集する内容で、条件をしっかり書いた紙を貼り付けておく。これで、しばらくすれば城に希望者が現れるはずだ。

　「さて、しばらく街を探索したら帰るか」

　掲示板に情報を掲示したリュートが少し離れた場所から再び掲示板の方を振り返ると、既に掲示板を見ている人物が居た。

　「王様の城を世話する使用人を募集かぁ…私でも城で働けるのかな…」

　「就職希望者かい？」

　気になったので、求人情報を眺めていた女性に話しかけてみる。

　「リ、リュート王！居らしたのですか！」

　「あぁ、ちょうどさっきその募集を貼ったんだ」

　「王が自ら、護衛もつけずにですか？」

　「やはり王はあまり自分から出歩かないものなのか？」

　「確かに街の中を護衛もつけずに歩くのはリュート王くらいかと…」

　確かに不用心だったのかもしれない。まぁそう簡単にやられるような俺ではないが。

　「君、名前は？」

　「わ、私はアリアと申します」

　「アリア、君は城で働きたいのかい？」

　「は、はい！私、昔からお城で働くのが夢だったんです！」

　「得意なことは？」

　「掃除、洗濯は得意です！一応、メイドが適性職です」

　いい目をしている。やる気にも満ち溢れている。それにメイドにも適している。

　「よし、採用！」

　「えっ！良いんですか！」

　「君の目は信用出来る。明日から城に暮らしながら生活してもらうことになるが大丈夫か？」

　「はい！光栄です！よろしくお願い致しますリュート王」

　リュートは最初の使用人を雇った。この後、数十人のメイド適性持ちがリュートの元を訪れ、その全員が採用となった。

　「よし、新たにメイド達用の部屋や設備を整えるために色々買ってから帰るか」

　リュートは使用人の為の制服や、食料などを注文して、城に帰るのであった。