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第9章 魔王と灰の国篇

第116話 垣間見える闇

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 イモージェンの魔法にやられた兵士たちが闇のオーラを纏って復活する。

 「イモージェンさん!闇に堕ちてるってどういうことですか?」

 「セールイに闇に堕ちた者ダークサイドがいるようじゃ」

 「闇に堕ちた者?イモージェン、そいつは一体どんな奴なんだ?」

 「闇に堕ちた者とは、その名の通り何かしらの要因で、人の精神や肉体が闇に飲み込まれてしまった者を指す。闇に堕ちた者は周囲の人々にまで影響を与え、この目の前にいる兵士たちのように人ならざる程の力を与えるのじゃ」

 「イモージェンさん!私たちはどうすれば良いのでしょう?」

 「闇に堕ちた者本人はこの場に居ないようじゃ。だから、わしらはこれ以上の闇の感染を広げないように、なんとしてもこヤツらの進行を防がなくてはならない」

 「わかった」

 「了解しました!」

 三人が闇兵士の進行を食い止めている時、リュートとブレイズはセールイ王国で異様な光景を目にしていた。

 「な、何だこれ…」

 リュートが目撃したのは、セールイの国民たちが一人残らず倒れている状況だった。

 「おい!大丈夫か?」

 倒れている人に声をかけてみるが、まるで反応は無い。呼吸をしている事から死んではいないのだろうが、眠っているとも言い難い異様な状態だ。

 「リュート。そいつらはこの先に居るこの状況を作った奴を倒せば元に戻るはずだ」

 「なるほど。そういうことなら慎重に進もう」

 リュート達は何者かの気配がするセールイ城に入る。

 「ようこそようこそ!待っていたぞ魔王!」

 そこに居たのはロート帝国元皇帝、ダム・ロートだ。

 「お前が一連の原因か!」

 「そうだ。私が貴様の国に兵を仕向けた。それも全ては貴様に復讐するためだ!」

 ダムの内部からドス黒いものが溢れ出す。高濃度の闇だ。

 「リュート!アイツは闇に堕ちた者、何者かの力で奴は人智を超えている!」

 「私は皇帝!竜風情が私を超えるなどあってはならない!殺す!貴様らを…」

 ダムの体が闇で変容していく。

 「殺す、殺す、殺す、殺、殺、殺、殺!殺ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 ダムの体はボコボコ膨れ上がり、醜い姿になる。やがて、闇に包まれ、その姿が収縮し、人型に変化する。

 「フゥ…素晴らしい!これが闇の力か…」

 闇から現れたダムの姿はまるで別人となっていた。肌は灰色になり、髪は白く変色。頭からは角が生え、背中には翼まで生えている。

 「魔人化デモニゼーションだと?通常、人間が魔人になるなどありえない!それだけこいつを堕とした闇がとてつもなく強いということか!」

 「さぁ!始めるか…竜達の殺戮ショーを!」

 魔人化したダムがリュート達の前に現れた。
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