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第9章 魔王と灰の国篇

第117話 怒りの炎

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 ダムは闇の力で魔人となった。

 「リュート!気をつけろ!こいつはもう…」

 「あぁ。何となくだが察した。以前も似たような状況に陥ったならな」

 リュートがアル大陸で対峙した、皇帝メルーグは自らの肉体と城を融合させることで、魔人に至ろうとした。しかし、結果は上手くいかず、半魔人というどっちつかずの状態になる程度のものだった。

 「さぁて、まずは生意気な赤い竜からだ」

 一瞬でブレイズの元に距離を詰め、ブレイズの下顎を殴り上げる。

 「ぐっ!」

 ブレイズは脳が揺さぶられ、膝を崩す。

 「吹き飛べ!」

 魔人ダムの蹴りはブレイズの巨体をものともせずに、吹き飛ばす。

 「ブレイズ!」

 「痛え…中々やるようだ…」

 「次は貴様だ魔王!」

 ダムはリュートの方を振り向き、一瞬で距離を詰める。

 「ふ!」

 リュートはダムが突っ込んでくる方向を神刀で切り裂く。しかし、攻撃は当たらず、リュートの攻撃は空を割く。ダムはリュートの刀が当たる直前で停止し、攻撃を回避していた。魔人化の力で、人間では不可能な動きだ。

 「何!予想以上に動ける!」

 「ほらよ!」

 バキィ!リュートの顔面を殴り飛ばす。ドラゴンを軽々吹き飛ばす威力のパンチはリュートに甚大な被害を与える。リュートもブレイズが吹き飛ばされた方向に吹き飛ぶ。

 「がはっ!」

 あまりの衝撃に一瞬意識が飛んでいた。

 「派手にやられたなリュート…」

 「さっきの灰喰竜戦が響いてるみたいだ…」

 「なんだ?七色の罪竜も災厄の化身も大したことないな?」

 ダムがジリジリとこちらに距離を詰める。

 「リュート、その刀って言ったか?そいつを少し貸してくれないか?」

 「だが、良いのか?そいつは凶暴だぜ?」

 「多分大丈夫だ」

 「何となくだがお前がやりたいことが理解出来たよ。そっちに合わせる。一気に行くぞ!」

 「あぁ!」

 リュートとブレイズが起き上がる。ブレイズが変化の杖を用い人間の姿に変化する。

 「ほら!耐えろよ!」

 リュートが神刀をブレイズに渡す。

 「ぐあぁぁ!」

 ブレイズは神刀を握る。神刀はリュート以外の利用者を拒むように、握ったものは激しい痛みに襲われる。

 「だから、言っただろ?」

 「大丈夫…だ。慣れた…」

 「人型になった所で私に勝てると思うな!」

 「ムカつくぜ…何が魔人、何が皇帝!他者から譲り受けた力でふんぞり返るのも大概にしやがれ!」

 ブレイズの体が発火する。それに伴い、神刀・夢幻白夜も呼応するように発火する。

 「怒り50パーセント。炎域フレアゾーン!」

 「さぁ行くぞブレイズ!」

 「あぁ!俺の憤怒の炎を受けるがいい!」

 ダムの前に二竜が再び立ち上がった。
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