異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第10章 黄金色の欲望篇

第126話 仇との再開

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 突然リュート達の目の前に雷が落ちる。

 「何だ?」

 「明らかに自然の力ではないようだね…」

 「あ…あぁ…」

 「どうしたサレナ?」

 「あ…あれは…」

 サレナの視線の先には雷の落ちた跡がある。そこには何者かが立っている。

 「お?着いたな。ここがエル大陸か」

 そこに居たのは禍々しい力を迸らせた、単眼の巨人だった。

 「一つ目の…巨人…」

 サレナの記憶がフラッシュバックする。

 幼少期に貴族の娘として育てられたサレナは両親と共に旅行に出ていた。アル大陸のこの辺りはモンスターも比較的少なく、護衛の傭兵もいたので、誰もが安心していた。しかし、悲劇は突然始まる。

 「何だ?」

 「突然…雷?」

 突然、轟音が響き、先程まで晴れ渡っていた空は紫に変色し、太陽は黒い雲で覆われた。

 「お父様?一体何が起きましたの?」

 「サレナ。この馬車から出るなよ」

 元々剣技に長けていたサレナの両親は剣を取り、傭兵達と共に馬車の外に出て、様子を伺っていた。

 「ふぅ…中々魔力を使うな…」

 落雷地点には一つ目の巨人が立っていた。黒い肌に筋肉質な体。手には巨大な武器を持っていた。

 「な、何者だ!」

 「どうやってここに現れた!」

 傭兵達は一つ目の巨人を囲む。

 「何だ?原住民か。お前らに話すことなどない消えろ」

 ブンッ!一つ目の巨人が武器を振りかざしたと思ったら、辺にいた兵士は一瞬で吹き飛ばされ、即死した。

 「な、何て強さだ」

 「あなた!サレナだけでも守るわよ」

 「あぁ!」

 二人だけになったサレナの両親は一つ目の巨人の注意を自分たちに引き付け、馬車から遠ざけた。

 しばらく経った後、サレナは待ちきれなくなり、馬車の外に出てしまう。

 「お父様?お母様?」

 そこに広がっていた光景は、一つ目の巨人に母親が丸呑みされている光景だった。

 「お、お母様ぁぁぁ!」

 「サレナ!逃げろ!」

 「まだ人間がいたか?」

 一つ目の巨人はサレナを視界に捕らえる。

 「ひっ…」

 一つ目の巨人に睨まれ、とてつもない恐怖でサレナは腰が抜け、動けなくなる。

 「次はお前だ」

 サレナの目の前で父親がボコボコにされていく。

 「お父様…」

 「サレナ…生きろ!生きていれば必ず…」

 バキッ。サレナの父親は一つ目の巨人に握りつぶされた。

 「さて、次は…うん?時間か…運が良かったな小娘」

 そう言うと、一つ目の巨人は暗黒の空と共に消え去った。

 「お父様…お母様…」

 サレナは一人、泣き叫んだ。そこには雨が降り注いだのだった。

 場面は戻り、現在。その一つ目の巨人とサレナは再び出会ってしまった。

 「何!あれがサレナの両親の…」

 「両親の仇…絶対に許さない!」

 目の色を変えたサレナが一つ目の巨人に突撃するのだった。
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