異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第12章 罪竜と素質解放篇

第145話 取り残し

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 リュートはクリアが目覚めるまでヴァイス城に居ることにした。

 「さて、これからどうするか」

 「なぁリュート」

 「どうしたんだ?ミラ?」

 「サレナが素質解放したように、私も同じように出来るのかと思ってな」

 「みんななら出来ると思うよ」

 「そうか…。だとしたら私は何をすればいいと思う?」

 ミラの疑問はよく分かる。サレナは明確な目標、それに対する壁、そして、それを乗り越えるという具体的なやり方で素質解放した。しかし、ミラやルージュはサレナ程の仇は存在しない。だとすれば、素質解放をするにはどうすればいいのだろうか。

 「そう言えば灰喰竜も似たような事を言ってたな。アイツが言ってた更なる高みって言うのは素質解放のことだったのか…。と言うか、ブレイズ!お前知ってて黙っていただろ?」

 「まぁ…な」

 何故だかブレイズは申し訳なさそうな顔をしている。

 「正直に話すが、素質解放なんて起こるかわからないギャンブルのようなものだ。その力に頼るというのは危険だと判断しての行動だ。だが、魔神が現れた今はそうも言ってられなくなってきたようだし、大事なことを話す」

 「大事なこと…」

 「あぁ。七色の罪竜は素質解放した者しか倒せない。灰野郎も、緑野郎もまだ生きている」

 「なんだと!まだアイツらは生きてるのか?あの時確実に仕留めたはずだが…?」

 翠怠竜レイズは確実にルージュが焼き払ったし、灰喰竜バイトもミラの一撃で崩壊したはずだった。

 「確かにリュート達は確実に。だが、生き返ることが出来る」

 「生き返るだと?」

 「信じられないかもしれないが七色の罪竜とはそう言うものだ。現在消滅した七色の罪竜は白野郎ただ一体だけだ。まぁリュート達には七色の罪竜の取り残しがあるという事さ」

 「じゃあ待てよ?紫色竜は?」

 「まだ生きている。彼女の中でな」

 ブレイズがニナの方を向く。

 「えっ…?私にまだ紫色竜が?」

 「だっておかしいとは思わなかったのか?突然霧の魔法が使えるようになったんだぞ?」

 確かに、その点は疑問に思っていた。

 「わ、私はどうすれば良いのでしょうか?」

 「簡単な話しだ。もう一度紫野郎と戦って今度はその力を取りこむといい」

 「簡単に言うが、そんなことができるのか?」

 「俺には七色の罪竜が使える特殊なスキル『心理潜航サイコロジー・ダイブ』が有るのを忘れたのか?お前は一度ニナの心理に潜っていただろう?」

 「そう言えば、そうだった!」

 「この場にいない緑と灰野郎とは違って紫野郎ならすぐに会えるがどうする?」

 「行きます。私は過去の自分を超えてみせます」

 「わかった。心理障壁決壊を発生させるには、リュート。お前の力が不可欠だ」

 「了解した。俺も一緒に向かおう」

 「他のみんなは待つことになるが我慢しろよ!このスキル二人までしか対象に出来ないからな。では、行くぞ!心理の扉サイコロジーゲート解放オープン!」

 リュートとニナはその場で眠るように意識を失ったのだった。
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