異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第12章 罪竜と素質解放篇

第153話 暴食、消失

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 ミラの身体が変化する。今までメンバーと違い、ミラ身体から天に向かって光が伸びる。その際身にまとっていた物は全て光に変換された。やがて光は空一体に広がり、空に雷光が迸る。ミラが右手をあげると、その手を目掛けて雷が落ちる。

 「素質の力が目覚めたか」

 ミラの身体に雷が迸り、その雷が服のように身体にまとわりつく。髪は少しだけ逆立ち、全身がバチバチとスパークしている。

 「この力が…素質解放…」

 ミラは自身の内側から溢れる力に驚いた。

 「良しもう大丈夫だなミラ?」

 「あぁ。迷惑をかけたなリュート。もう大丈夫だ。後は私に任せてくれ」

 「わかった」

 「さぁ、かかって来るがいい!汝の力を見定めてやろう!」

 灰喰竜バイトは、以前身にまとった骨の装甲に身を包んだ。

 「骨槍射ボーンスパイク!」

 ミラを目掛けて鋭利な棘が射出される。

 「ミラ!」

 「そんな攻撃、当たらない。そして…」

 バリッ!ミラは一瞬でバイトの後方に回り込んだ。

 「遅い!」

 ミラの纏っていた雷が、矢の形に変化していく。

 「節制の矢モデレーション・アロー

 「ぐぅ!」

 矢はバイトの装甲をいとも容易く貫き、バイトに穴が空く。

 「これが素質解放の力だと言うのか?」

 「さぁ、一気に行くぞ!」

 ミラが雷光の如く高速移動し、バイトを撹乱する。

 「速い!捉えることが出来ん!」

 バイトは一旦距離を取ろうと、空へ飛び上がる。

 「逃がさん!節制の包囲モデレーション・シージ!」

 ミラがそう唱えると、バイトはたちまち雷の矢に包囲され、一瞬で穴だらけになった。

 「グハッ!」

 いくら七色の罪が驚異的な回復力を持っていても。素質解放したミラの前では無意味だった。

 「トドメだ!節制の弾丸モデレーション・ブレット!」

 ミラの人差し指を前にかまえ、そこに雷が集まり始める。その雷が弾丸のように変化した。

 「喰らえぇぇぇ!」

 ミラの一撃で、バイトはコアを貫かれた。

 「流石は我を一度打倒した者だ」

 バイトは素質解放したミラの一撃を喰らい、完全に核が破壊された。

 「ふぅ…」

 ミラの雷が消えていき、元の状態に戻る。

 「さぁ、我の力『吸喰サクション』を存分に使うがいい」

 「これで、私は更なる高みへ到達した訳だな」

 「では、我はここまでだ。せいぜい足掻いて世界を救うといい。今度は本当の別れだ」

 「世話になった」

 バイトは最後に満足したような顔をして、消失した。

 「リュート、腕は大丈夫か?」

 「まぁミラの歯型が着いただけだ。すぐに治るさ。それより、これで四人目の素質解放だ。よく頑張ったなミラ」

 「リュートのおかげさ」

 こうして、ミラも素質解放を成し遂げたのだった。
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