異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第12章 罪竜と素質解放篇

第159話 分裂の結果

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 泥に包まれた、ローザとデザイア、オリアナとブレイズの四人は無事に元に戻った。

 「みんな。体は大丈夫なのか?」

 「私は大丈夫よ」

 「私もよ」

 「私も大丈夫ですー」

 「俺も無事だ」

 「一体何があったんだ?」

 「私たちはこんなことがあったわ」

 ローザが、未知の空間で体験したことを詳しく説明する。

 「なるほど。それで、デザイアの力はどうなったんだ?」

 「それが…」

 ローザとデザイアが片手を前に出し、魔力を込めると、二人の手元に金塊が出現した。

 「お互い、泥に触れた影響なのか、私の力が二つに分裂したみたい。どうなってるのかは私もわからないわ」

 「つまり、二人ともデザイアの能力が共通して使えるようになったと?」

 「そう言うことになったわね」

 それは素晴らしい戦果だ。俺たちはデザイアの力を失わせることなく、デザイアの力を継承できたという事だ。しかも、ローザも素質解放をすませている。これ以上の戦果は無い。

 「そっちはどうだったんだオリアナ?」

 「私たちですかー?私たちは…」

 オリアナは自ら体験した不思議な現象を余すことなく説明した。

 「素質解放が発生しなかった?」

 「すみませーん。私、お役に立てなかったみたいですー」

 「いやいや、ブレイズと共に無事に戻って来れたんだ。気にする必要は無いよ」

 「ありがとうございますー」

 「それで、憤怒の力はどうなったんだ?」

 「それが…、俺は前のまま力を扱える。そして、マスターも俺の技を使えるようになったはずなんだが、何故だか使えないようだ。何故こうなったかは残念ながら原因不明だ」

 「原因不明なのか…」

 オリアナの素質解放は発生しなかった。何か力が足りなかったのか、それとも…。

 「まぁ。これで後は蒼嫉竜ブルードラゴンだけになった訳だ」

 「じゃあ次の目的は、蒼嫉竜の討伐という事か」

 「いよいよ、私の番だね…」

 「最後に残った蒼嫉竜は、俺たちの中でも屈指の強敵だ。気を引き締めてかかれよ?」

 「そんなことわかっているさ。慢心なんかしないさ」

 リュート達は目的も果たしたので、ジョーヌから帰還することにした。

 「貴方たち。世話になったわね」

 「以前のように竜にはなれないが、王として頑張ってくれ」

 「竜の状態なんて醜いだけよ。私は今の姿が一番輝いているわ。だから、竜の姿に未練なんて感じてないわ」

 「そうか」

 「頑張りなさい貴方たち。この辺りが踏ん張りどころよ」

 「応援感謝する。また会おうデザイア」

 「そうね」

 こうして、リュート達はジョーヌ王国を後にしたのだった。
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