異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第13章 最後の罪竜篇

第166話 盗賊、再び

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 クリアは無事に素質解放をし、七色の罪竜の力を継承した。

 「ふぅ…何とかなったね」

 クリアの姿が元に戻る。それと同時に戦闘で大荒れしていた、海が元に戻る。

 「これで、七色の罪竜は終わりか?」

 「まぁそうだな。俺とデザイアは既に七色の罪竜ではないからな」

 「後は魔神の襲来に備えるだけか…」

 「そうだね。私ももっと強くならないと」

 リュート達はジェラスが居た海域を抜け、最初に居た浜辺へ戻る。そこに見える人影は一つだけだった。

 「あれ?オリアナは?」

 「マスターはどこだ?」

 「リュート王!」

 そこには、何故かハーパーだけが居た。

 遡ること数分前、オリアナとハーパーはリュート達の帰りを待ちつつ、海を満喫していた。

 「本当によろしいのでしょうか…。リュート王達が七色の罪竜と対峙しているというのに、私たちがこのような…」

 「良いんですよー。だって、私たちはリュートさん達と違って水中では息が持ちませんからー。それに、せっかくリュートさんが水着を用意してくれたのに使わない方が失礼ですよー」

 「し、しかし…」

 生真面目なハーパーがオリアナに振り回されていると、何者かがオリアナ達の元へ近づいてくる。

 「!?何奴!」

 ハーパーは水着でありながら剣を帯刀していたので、すぐに剣を抜き構える。

 「うっひょー!すっげぇ美人だぜ!」

 「こいつは当たりだな」

 いかにも盗賊といった風貌の二人組がオリアナ達の前に現れた。

 「貴様ら!ルイズ盗賊団の一員か?」

 「知ってるなら、話しは早い」

 「俺たちはルイズ盗賊団。欲しいものはなんでも奪うのが俺たちのやり方だ」

 「私が居る前でそのような事はさせない。はぁぁぁ!」

 ハーパーが剣を振りかざす。しかし、攻撃は当たらない。盗賊達はやはり人間離れした動きで攻撃を避ける。

 「遅せぇ遅せぇ!」

 「そんな格好で戦えんのか?」

 普段と違う格好と、足場が悪いのもあってハーパーは力が出せなかった。

 「くっ…」 

 「待って下さいハーパーさん」

 「オリアナ様?」

 「盗賊団さん達は何が目的ですかー?」

 「そうだな…お前たちの身ぐるみはいで売り飛ばすことかな?」

 「なるほどー。それはとても大変ですー」

 そう言いながら、オリアナは盗賊団に近づいていく。

 「オリアナ様!危険です」

 「私を捕まえてくださって構いませんので、貴方たちのリーダーに会わせて頂けませんか?私は何の抵抗もしませんからー」

 「ほう?」

 「話しがわかるな。わかった」

 「良いのか?」

 「馬鹿野郎。こんな上玉の女を好きにできるチャンスだぞ?」

 「それは良いな…」

 盗賊達はオリアナの提案に乗り気なようだ。

 「オリアナ様!一体何を?」

 「ハーパーさんはリュートさんと合流して下さい。私なら大丈夫ですからー」

 「しかし、それでは…」

 「私に考えがあるんです。どうかお願いしますー」

 「わ、わかりました」

 「では、盗賊さん。どうぞー」

 オリアナは手を差し出し、盗賊に縛られた。

 「ハーパーさんには手を出さないで下さいー」

 「わかった」

 「じゃあ俺たちと来てもらおうか」

 「オリアナ様…」

 こうして、オリアナは盗賊団に連れていかれたのだった。
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