異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

文字の大きさ
516 / 529
第14章 七大国会合篇

第188話 闇の使い、現る

しおりを挟む
 ニナの元にリュートが駆けつけた。

 「ニナ!大丈夫か?」

 「はい。私は大丈夫です」

 「そして、何故君がそこに居るアグノラ?」

 「あ、あんたは…」

 アグノラはリュートこの大陸に最初に出会った二人組冒険者の片割れで、リュートの存在をあまり快く思ってなかった。

 「しばらく会わなかったら随分と物騒になったな」

 「あぁ…あぁぁぁ!」

 「リュートさん、様子がおかしいですよ」

 「あんたが!あんたが居なければ魔の国なんて生まれなかったんだ!あんたが居なければぁぁぁ!」

 「な、何を言っている?」

 「あんたは魔物の分際で人間の姿になり、果てには国を収めるまで強大な力を手にした!そんな魔物に支配されている国と結託するような愚かな国は滅べぇぇぇ!」

 「どうやら正気ではないようですね」

 「あぁ。あくまで憶測だが、何者かに怒りや憎悪などの負の感情を悪用されている」

 「あぁぁぁぁ!私の前から消えろ魔物ぉぉぉ!」

 アグノラは邪悪な杖を振りかざし、巨大な闇の塊をリュートに落とす。

 「爆破デトネイト!」

 リュートの魔法で闇の塊は空中で爆散した。

 「なぜ勝てない!私は闇の力を手に入れて強くなったはずなのに!」

 「その様子だと苦戦しているようだな」

 アグノラの後方から何者かが現れた。

 「誰だ?」

 「あぁ…使様!」

 「闇の使いだと!」

 闇の使いの姿は一定を保っていない流体の闇の泥のような姿をしていた。

 「やっと見つけたぞ。こんな辺鄙な場所に居たとはな?忌々しきリュートよ!」

 「何?なぜ俺の名を?」

 「この姿を見せたらわかるか?」

 ドロドロの闇は塊になっていき、やがて人型になった。

 「お前は…」

 リュートの目の前に現れたのは肌が黒い禍々しいルージュだった。

 「思い出したか?かつて貴様に敗れたヴォイド・フロンの名を」

 「ヴォイド!なぜお前が生きている!」

 かつてアル大陸で戦ったルージュを悪用した研究者。しかし、ヴォイドはルージュと共に確実に焼き払った筈だった。

 「私は完全なるもの。自分の予備を作ることなど容易い。まぁ元の体は貴様に消されたから今はあの失敗作の複製を使っているがな」

 「闇の使い様!申し訳ございません!」

 「気にする事はない。貴様にはまだ使い道がある。他の四天王も敗れたようだし、ここは一時撤退としよう」

 「俺が逃がすと思うか?」

 「ふっ」

 ヴォイドは不敵な笑みを浮かべる。

 「何がおかしい?」

 「まだ自分の立場が分かってないのか?今の私にしたら君なんかは雑魚ということを」

 「!?ニナ離れろ!」

 リュートは危険を察知してニナを遠くに突き飛ばす。

 「リュートさん!」

 「遥かなる闇ファー・ダークネス!」

 リュートは闇の波動に飲まれ、ニナの前から姿を消した。

 「何、手は抜いているから死んではいない。勢いが着きすぎてどこまで吹き飛んだかは知らんがな。戻るぞ」

 「はっ!」

 そう言い残し、闇の軍勢は去っていったのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...