異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第15章 闇との決戦篇

第196話 王たる所以

　ライアンが作り上げて立方体の領域内には魔人化した四人に囲まれているアイザックが居る。

　「我ら暗黒四天王、一人の人間ごときに遅れは取らん！人間は死ぬ定め…」

　そう言ったメランは次の瞬間には領域の壁に叩きつけられていた。

　「ふん！遅い！」

　「流石はアイザックさんだ。速さが違う」

　「なぁに、ライ坊の能力あってこそだぜ」

　「ぐっ！数的有利はこちらにある！全員で畳み掛けろ！」

　「「幻影倍増ミラージュ･ダブリング！」」

　アイザックの周りにどれが本体か分からない幻影が倍増して現れる。

　「さァ！これでどれが本体かわかるまいィ！」

　「私たちの攻撃を予測できますか！」

　「女王！頼めるか！」

　「了解したわ。金の見極めゴールド･プローブ！」

　幻影達一体一体の腕に金色のリングが装着される。しかし、幻影の体は金のリングを通り抜けた。その幻影達の中の四体がリングが腕に装備された。

　「しまった！」

　「小癪な！」

　「チッ！仕方ない再び転移する！時間を稼いでくれ」

　「了解ィ！」

　「させるか！」

　アイザックは高速で槍の突きをズワに繰り出す。

　「馬鹿め！私に気を取られたな！」

　アイザックの背後には魔力を貯めたアグノラが居た。

　「魔法槍マジックランス･闇火炎ダークフレア！」

　アグノラは魔力を練り上げ、魔力で出来た暗黒の炎を纏う槍を作り上げた。そして、それを投擲し、アイザックの背中にアグノラの一撃が突き刺さった。槍は突き刺さると同時に、激しい爆炎をあげる。

　「ははァ！喰らいましたァ！喰らいましたねェ！」

　「この機にこちらも畳み掛け…」

　アイザックに飛びかかったアテルの腹に剣、メランの腹に槍が突き刺さる。

　「ぐはっ！」

　「なにィ！」

　「私の装甲を舐めないでくださる？」

　「いい鎧だ！」

　爆炎の中から無傷の金色装甲を身にまとったアイザックが現れた。

　「これが王の力か…」

　「たかが人間と侮っていたァ！」

　「トドメだ偽魔人共！女王！」

　「はいはい」

　アイザックの手に再び金の剣と槍が装備された。

　「行くぜ！加速アクセラレーション！」

　アイザックは武器を持って高速で回転し始めた。その場には切れる竜巻が発生していた。

　「覇王竜巻斬オーバーサイクロン！」

　「に、逃げ場がない！」

　「間に合わないが仕方ない…！後は頼みました！」

　「えっ！」

　斬撃の竜巻が領域内を切り裂いた。

　「領域解除」

　「フゥ…何！」

　アイザックが目にしたのは三体の死体だった。

　「一人逃げられたか？」

　「こうしてはいられないわ！闇の使いも居ることだし、探しましょう！」

　こうして、暗黒四天王の内アテル、メラン、ズワの三体が討伐されたのだった。