異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第15章 闇との決戦篇

第198話 真魔人

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 ヴォイドの一撃がルージュを貫いた。

 「さて、神樹の元へ行くとしよう…」

 ヴォイドが右腕をルージュから引き抜こうとする。しかし、何故か腕が引き抜けない。

 「何っ?これは…」

 ヴォイドが気がつくと、貫いていたのは盛り上がった地面だった。

 「レイズさんに託された順応アダプテーションの力です!そして、その土塊は、私の魔法でつくりあげたものですので、簡単には壊せません!これで逃げ場はありませんね!」

 ヴォイドの周囲に七つの魔力の塊が周回している。そして、その魔力の塊はヴォイドの近くで急速に収束していく。

 「チッ!」

 「リュートさん直伝!全魔法爆裂オールマジックバースト!」

 七属性、火水風土雷光闇全ての属性が混ざりあった大爆発が発生する。

 「よし!これならどうですか!」

 爆煙が立ちこめる場所から傷付いたヴォイドが姿を表す。

 「なかなかの火力だ。闇の力が無ければ即死していたよ」

 「あの攻撃を耐えましたか…」

 「私も本気を出さざるを得ないようですね」

 ヴォイドの体が歪み始める。

 「何をするつもりですか」

 「私が本気を出すためにはこの身体かたではまだ足りない。さらに上位の存在とならなければな!はあぁぁぁぁぁぁ!」

 尋常ではない量の魔力がヴォイドの身体から溢れ出し、姿を象っていく。

 「魔人。闇を司りし闇の種族。私はその枠にすらも収まらない。今まで存在するどの人間と魔族よりもさらに上位の存在。魔の神、魔神にすら匹敵する究極の存在。だ!」

 ヴォイド(ルージュ肉体)の身体は変容していた。髪が伸び、赤黒く変色し、全身に複雑な紋様が浮かび上がる。角が二本生え、おでこの中心に第三の目が開眼し、赤き瞳が鈍く輝く。肘や膝からは鋭利な刃状の棘が生え、肉体がルージュよりため大人びた身体に変化する。

 「さぁこれが新たな私の身体だ!」 

 「以前はこのような力はなかった筈…」

 「強くなっているのが貴様らだけだと思うなよ?私は闇の力を手中に収めたのさ。さぁルージュ。私をコケにした罰を受けてもらおうか。暴れ狂う闇ダーク・レイジ

 禍々しい闇がルージュに押し寄せる。

 「守護光ガードライト!」

 ルージュは闇を防ぐように光の障壁を貼るが、闇は光を飲み込み止まることはなかった。

 「うあぁぁぁぁぁぁ!」

 ルージュに触れた闇はルージュの体を蝕む。

 「すぐ楽にしてやろう。怨恨の闇ダークネス・グラッジ!」

 津波のごとき、莫大な闇がルージュに迫り来るのであった。
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