2 / 2
一生
二生
しおりを挟む
フリーターの僕君には毎日、いくつもの試練があります。
フリーターといっても暇じゃないのです。
その1、街ゆく人達からの冷たい目線を気づいてないふりをしてバイト先へ向かう。
自意識過剰ではありません。あいつらは僕君を見下した目で見ている、と僕君は思い込んでいます。
その2、家での立場を考えると何も音を立てずに動かない事が最善策なので、坊主よりも瞑想し、動きません。
時々自分が自分でなくなってしまうのではないかと思うのです。
その3、とにかく辛い。
周りの同期はここまで落ちぶれていないはずだ。
なんせ学校卒業三日後にはフリーターなのであるから。行先が思いやられる所ではない。
比べるだけで不安と現実と嫉妬に押しつぶされそうになります。
そもそも僕君に友達なんていません。
同期と書いた時点で気づけよ、と思う僕君でした。
この現状をそこまで大した事ないと思う奴は、ぜひ替わって欲しいと思う僕君です。
落ちこぼれと入れ替わった場合、その後の人生は苦痛であると同時に、入れ替わった相手と恋愛には発展しない。
替わった僕君は会おうとも思わないだろう。
むしろ替わった僕君は人生を謳歌するだろう。
すなわち、後悔して戻ろうとしても地球を舞台とした大規模鬼ごっこになるという訳だ。
なんてありもしない現実逃避をしていつもギリギリのところで試練を乗り越えています。いえ、よじ登っています。
フリーターになった僕君は日々考える事が増えました。そうです、世の中に対する考え方が変わったのです。
例えば、「大して果汁入ってねえのに素材の味を語るなよボトル野郎」
と陳列されたペットボトルジュース達に念じています。
他にもたくさんありますが、あまり得にならなさそうなのでやめときます。
僕君はフリーターになって世の中をよく見るようになりました。
ちなみにバイトはファミレスの店員です。不満はまだありません。
ファミレスには様々な人間が来ます。
僕君が働いていた時、おじさんの席の後ろを通りかかりました。
そのおじさんはスマホの画面の光をMAXにして、画面を舐めるように必死にグラビアの子の谷間を人差し指と親指で、慣れない手つきで拡大していました。
それを見た時僕君は軽蔑する訳ではなく、逆に愛おしく見えていました。
まるで猫じゃらしを追いかける子猫のようじゃありませんか。欲望には逆らえないということも学べました。
30年以上生きたであろう禿げた毛深い人間でさえ、この愛おしさを醸し出せるのである。
何とも可能性を感じざるを得ない。
そんなこんなでバイトは続けれそうな僕君です。
ファミレスは男女トイレが別ではあるのですが、個室が壁越しに隣合っています。
そして壁がものすごく薄いので、くしゃみの音や、トイレットペーパーをからからさせる音が男側からも女側からも筒抜け状態なのである。
僕君は、個室に入る度、この薄い壁の向こう側のからからしている人が美人な人だったらいいなと思っています。
というか、美人だと思って妄想しております。
そして動物の求愛行動のように、向こう側の人がからからとトイレットペーパーを巻いている時は、事を終えてなくてもからからからからと共鳴するかのように音を立ててアピールします。
僕君はここにいるよ!美人さん!といった所でしょうか。
壁を殴られました。
フリーターといっても暇じゃないのです。
その1、街ゆく人達からの冷たい目線を気づいてないふりをしてバイト先へ向かう。
自意識過剰ではありません。あいつらは僕君を見下した目で見ている、と僕君は思い込んでいます。
その2、家での立場を考えると何も音を立てずに動かない事が最善策なので、坊主よりも瞑想し、動きません。
時々自分が自分でなくなってしまうのではないかと思うのです。
その3、とにかく辛い。
周りの同期はここまで落ちぶれていないはずだ。
なんせ学校卒業三日後にはフリーターなのであるから。行先が思いやられる所ではない。
比べるだけで不安と現実と嫉妬に押しつぶされそうになります。
そもそも僕君に友達なんていません。
同期と書いた時点で気づけよ、と思う僕君でした。
この現状をそこまで大した事ないと思う奴は、ぜひ替わって欲しいと思う僕君です。
落ちこぼれと入れ替わった場合、その後の人生は苦痛であると同時に、入れ替わった相手と恋愛には発展しない。
替わった僕君は会おうとも思わないだろう。
むしろ替わった僕君は人生を謳歌するだろう。
すなわち、後悔して戻ろうとしても地球を舞台とした大規模鬼ごっこになるという訳だ。
なんてありもしない現実逃避をしていつもギリギリのところで試練を乗り越えています。いえ、よじ登っています。
フリーターになった僕君は日々考える事が増えました。そうです、世の中に対する考え方が変わったのです。
例えば、「大して果汁入ってねえのに素材の味を語るなよボトル野郎」
と陳列されたペットボトルジュース達に念じています。
他にもたくさんありますが、あまり得にならなさそうなのでやめときます。
僕君はフリーターになって世の中をよく見るようになりました。
ちなみにバイトはファミレスの店員です。不満はまだありません。
ファミレスには様々な人間が来ます。
僕君が働いていた時、おじさんの席の後ろを通りかかりました。
そのおじさんはスマホの画面の光をMAXにして、画面を舐めるように必死にグラビアの子の谷間を人差し指と親指で、慣れない手つきで拡大していました。
それを見た時僕君は軽蔑する訳ではなく、逆に愛おしく見えていました。
まるで猫じゃらしを追いかける子猫のようじゃありませんか。欲望には逆らえないということも学べました。
30年以上生きたであろう禿げた毛深い人間でさえ、この愛おしさを醸し出せるのである。
何とも可能性を感じざるを得ない。
そんなこんなでバイトは続けれそうな僕君です。
ファミレスは男女トイレが別ではあるのですが、個室が壁越しに隣合っています。
そして壁がものすごく薄いので、くしゃみの音や、トイレットペーパーをからからさせる音が男側からも女側からも筒抜け状態なのである。
僕君は、個室に入る度、この薄い壁の向こう側のからからしている人が美人な人だったらいいなと思っています。
というか、美人だと思って妄想しております。
そして動物の求愛行動のように、向こう側の人がからからとトイレットペーパーを巻いている時は、事を終えてなくてもからからからからと共鳴するかのように音を立ててアピールします。
僕君はここにいるよ!美人さん!といった所でしょうか。
壁を殴られました。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。
久野真一
青春
羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。
そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。
彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―
「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。
幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、
ある意味ラブレターのような代物で―
彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。
全三話構成です。
痩せたがりの姫言(ひめごと)
エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。
姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。
だから「姫言」と書いてひめごと。
別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。
語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。
付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話
頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。
綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。
だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。
中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。
とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。
高嶺の花。
そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。
だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。
しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。
それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。
他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。
存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。
両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。
拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。
そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。
それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。
イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。
付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる